用語解説

■分からない単語やことばがあったら、ここで調べてみましょう。


【ア行】

亜科(あか)Sub Family:分類単位の一つで、科と族の間にあるもの。 →蝶の分類

アゲハチョウ科(か)Papilionidae: →アゲハチョウ科のページ

亜綱(あこう)Sub Class: →蝶の分類

亜種(あしゅ)Sub Species:種を更に細分化する分類単位。正確な定義はないが、通常地域変異を指すことが多い。 →蝶の分類

亜属(あぞく)Sub Genus:分類単位の一つで、属と種の間にあるもの。かなり分類が細分化されているシジミチョウなどにはあまり見られないが、ほとんどが一つの属に分類されるアゲハチョウ属(Papilio)などに使われることが多い。 →蝶の分類

亜目(あもく)Sub Order: →蝶の分類

アンプラ(Ampulla):バルバの先のこと。 →ゲニタリアについて

一眼レフカメラ(いちがんれふかめら)SLR, Reflex Camera :一つのレンズを通して、映像投影・撮影が出来るカメラ。見たままの像が写真になるため、写真撮影には必需品。 →蝶の撮影

遺伝(いでん)Inheritance:遺伝とは、親から子へ形質が伝わる現象を指します。蝶の場合、翅の模様や色彩、行動特性など、多くの特徴が遺伝的に受け継がれます。遺伝の研究により、蝶の進化や地域ごとの種の違いがどのように形成されたかを解明することが可能です。また、メンデルの法則などの遺伝の基本原理は、蝶を含む生物全般に適用されます。蝶の遺伝的多様性は、生息地や環境の変化に適応するための重要な要素です。→メンデルの法則

隠蔽型擬態(いんぺいがたぎたい)Cryptic Mimicry擬態の一種で、生物の生活している環境に体の形や色をまねて、生存率を上げる。 →擬態について:隠蔽型

隠蔽色(いんぺいしょく)Cryptic Color:木や葉のようにその環境にとけ込んで目立たない色のこと。 →擬態について:隠蔽型

ウェーバー線(Weberせん):ウォレス線より東に位置する東洋区オーストラリア区の境目とされる線。 →ウォレス線とウェーバー線

ウォレス線(Wallaceせん):バリ島とロンボック島、ボルネオ島とスラウェシ島、ミンダナオ島とモルッカ諸島を境に西側は東洋区の生物、東側はオーストラリア区の生物が見つかるその境界線のこと。 →ウォレス線とウェーバー線

羽化(うか)Hatch, Emerge:蝶が蛹から成虫(蝶)へ変態する事。蛹から蝶が出てくることを、「羽化する」という。

後脚(うしろあし)Hind Leg:胸部より出ている3対の脚の内、一番後ろ側(腹部の方)にある1対の脚のこと。後脚は、後胸から出ている。「こうきゃく」とも読む。

ウンクス(Uncus):オスのゲニタリアの一部。腹部の第10節が変形したもので、様々な突起の形をしている。 →ゲニタリアについて

エデアグス(Aedeagus):オスのゲニタリアの一部。精子をメスに渡すために使われる管。哺乳類でいうペニスのこと。 →ゲニタリアについて

エチオピア区(えちおぴあく)Ethiopian Region:アフリカ大陸とマダガスカル島を指す。現在は熱帯アフリカ区と呼ぶ。→世界の蝶

越冬(えっとう)Hybernation, overwintering:冬を越すこと。蝶の場合、卵・幼虫・蛹・成虫などの形態でその間変態をせず冬を越す。一般に成虫で冬を越す種類は少ない。

越冬形態(えっとうけいたい)Hybernation Form:ある固体が越冬をするとき、卵、幼虫、蛹、成虫などどの形態で越冬するかを表す。越冬形態が成虫であれば、その蝶は成虫で越冬をする。

エノシトイド(Enocytoid):体液の成分の一つ。 →体液と心臓のページ

エムポディウム(Empodium):脚のふ節の先にある、毛のこと。 →

オーストラリア区(おーすとらりあく)Australian Region :オーストラリア大陸、及びニューギニア島を中心とした生物地理区のこと。 →世界の蝶

温帯(おんたい)Temprate Zone:温帯は、地球上で赤道と極地方の間に位置する地域で、四季がはっきりと分かれているのが特徴です。この地域では、気温や降水量が比較的安定しており、多様な植物や動物が生息しています。蝶の生息に適した気候条件を持つため、多くの種が見られます。また、温帯に生息する蝶は冬眠や幼虫状態で越冬するものが多いです。

【カ行】

科(か)Family:共通の特徴を持つをまとめた分類単位。例えば、アゲハチョウ属(Papilio)、アオスジアゲハ属(Graphium)、ウスバシロチョウ属(Parnassius)、は同じアゲハチョウ科に属する。外見的に違いがあるが、幼虫の形態などが類似しているときが多い。蝶の「科」の分類については、学者によって変わることが多く、研究の余地がある。 →蝶の科

化(か)Brood/Generation:化とは、1年間に蝶が何回成虫として発生するかを表す言葉です。例えば、年一化(ねんいっか)は1年に1回しか成虫が現れないことを指し、ギフチョウがその代表例です。一方で、多化性(たかせい)の蝶は年に複数回成虫が発生します。たとえば、モンシロチョウは気候や地域によっては年に数回発生することがあります。このように、化の頻度は蝶の生態や環境条件と密接に関係しており、種ごとに異なる適応戦略を示しています。

蛾(が)Moth:鱗翅類で蝶以外のものを指す。一般的に蛾は夜行性で地味、気持ちが悪いなど嫌われていることが多い。蝶との違いについては、蝶と蛾の違いを参照。

外骨格(がいこっかく)Exoskelton:動物には、人間のように体内に骨を有して体を支えている、内骨格(ないこっかく)のものと、昆虫類のように骨を持たず、外皮が硬くなって骨の代わりに体を支えている外骨格のものがあります。外骨格は、頑丈な体をつくり、体を守るという長所がある一方、成長に応じて大きくなれないと言う短所があります。(成長に合わせて大きくなるためには、脱皮を行わなければならない)。

開長(かいちょう)Wing span:蝶の翅を広げたときの前翅の先(左側と右側)の距離。蝶の翅の広げ方によって、若干大きさが変わってしまうため、このホームページでは前翅長を使用している。 →開長と前翅長について

学名(がくめい)Scientific Name, Latin Name:リンネが提案し、実用されている、動植物における世界共通の名前。例えば、アゲハチョウであれば、Papilio xuthusとなる。 →学名について

隔離説(かくりせつ)Isolation Theory:新しい種が進化する際、地理的または生態的な隔離が重要な役割を果たすとする説です。この隔離によって遺伝的な交流が途絶え、それぞれの集団が独自に進化し、新たな種として分化する可能性が高まるとされています。

下唇鬚(かしんしゅ)Palpi/Palpus(複):蝶の頭部にある、口ひげで、鼻のように見えるもの。 →成虫の体:頭部2

夏眠(かみん)Aestivation:夏に休眠すること。冬に休眠するのは冬眠

顆粒細胞(かりゅうさいぼう):体液の成分の一つ。 →体液と心臓のページ

眼状紋(がんじょうもん)Ocelli:目玉模様のこと。ジャノメチョウの仲間に多く見られ、南米に生息するフクロウチョウや東南アジアに生息するメダマチョウが大きな眼状紋を有しており、有名。眼状紋は、天敵などを脅かすのに使われると思われる。 →擬態について:眼状紋

寒帯(かんたい)Polar Region:地球の最も寒冷な地域で、北極や南極周辺を指します。この地域では、年間を通じて低温が続き、植物や動物の生存に厳しい条件が課されます。蝶に関しては、寒帯には非常に少数の種類しか生息しておらず、その生態は限られた短い夏の間に繁殖活動を行うなど、独特な適応を示しています。

完全変態(かんぜんへんたい):昆虫が成長するにあたって、卵→幼虫→蛹→成虫、というように大きくその形態を変えながら成長すること。蝶は、完全変態をする昆虫である。逆に、卵からふ化した幼虫が成虫のミニチュア版で、そのまま大きくなっていくものを不完全変態という。

気管(きかん)Tracheae:体中に血管のように張り巡らされた管のことで、ここを通して体に酸素が支給される。 →呼吸のページ

気管系(きかんけい)Tracheae System:昆虫の呼吸するしくみのこと。 →呼吸のページ 記載(きさい) Describe:未知の生物として、名前を付けて発表すること。新しい属や種、亜種などを発見した時に、学会誌などにその新しい生物の特徴や区別点などを説明し、新たに名前を発表することを記載という。新種の記載については国際ルールがあるので、これに従う必要がある。 →新種の記載方法

苛性カリ(かせいかり)Potassium Hydroxide:水に溶かすと強いアルカリ性になる薬品の一種。ゲニタリアの解剖で、筋肉を溶かすのに使用する。 →ゲニタリアの解剖方法

寄生(きせい)Parasitism:一方の生物(寄生者)が他方の生物(宿主)から栄養を得て生存する関係を指します。寄生者は宿主に依存して生活するため、宿主にとっては不利益をもたらす場合がほとんどです。蝶の場合、幼虫が寄生バチや寄生バエの宿主となることがあり、これが繁殖や生存率に影響を与えることがあります。

基節(きせつ)Coxa:脚の胸部にくっついている節のこと。 →成虫の体:胸部

季節型(きせつがた)Seasonal Form:蝶の中には、同じ種類であるのにも関わらず発生する季節によって翅の色や模様が変わることがある。日本のアゲハチョウでも、春型や夏型といった「型」がありこの様な型を季節型と呼ぶ。この現象は日本のような温帯地区に多く見られ、季節のない熱帯ではあまり見られない。但し、乾季と雨期のある場所では、乾期型と雨期型が現れることがある。

季節変異(きせつへんい)Seasonal Variation:春、夏、秋、冬などの四季によって、翅の模様が変わる変異のこと。熱帯では乾季と雨季で変異が見られることがある。

擬態(ぎたい)Mimicry:ある生物が、その生物以外の生物、または環境に体の色や形を似せることによって、生存率を上げる方法の一つ。昆虫類は、特に発展しており、良く研究の対象とされる。環境にとけ込む隠蔽型、天敵を錯乱させる眼状紋、毒虫などのまねをするベイツ型、毒虫同士でまねをするミュラー型がある。 →蝶の生態

偽瞳孔(ぎどうこう)Pseudopupil:複眼に見られる模様で、色の付いた複眼の中に瞳の様な模様がある。ただし、蝶が死んだ場合は消えてしまう。 →成虫の体:頭部

気門(きもん)Spiracle:昆虫の体の側面にある、空気の出入口。気管につながっている。 →呼吸のページ

求愛行動(きゅうあいこうどう)Mating Behavior:オスがメスと交尾するために行う行動。通常メスの前で翅を見せたり、震わせたりする。種類によってはヘアペンシル発香鱗より放たれるフェロモンなどを利用するものもいる。

吸収管(きゅうしゅうかん)Proboscis口吻のこと。

吸水行動(きゅうすいこうどう)Mud Puddling:蝶が、川の畔や動物のおしっこの後などに集まって、水分(または、それに含まれるナトリウムイオン)を摂取する行動。大きいときは数百匹という大群の吸水行動を見ることが出来る。 →蝶の行動:吸水

旧熱帯区(きゅうねったいく)Afrotropical Region:この生物地理区は、アフリカのサハラ砂漠以南の地域を中心に、マダガスカルやインド洋の一部の島々を含むエリアを指します。多様な生物が生息し、特に蝶の分布や進化を研究する上で重要な地域とされています。

旧北区(きゅうほくく)Palearctic:この生物地理区は、ヨーロッパ、アジア北部(インド亜大陸を除く)、北アフリカ、そして中東を含む広大なエリアを指します。温帯から寒帯までの多様な気候帯を持ち、多くの蝶やその他の生物の進化や生態の研究で重要な地域です。 →世界の蝶

休眠(きゅうみん) Diapause/Dormancy:昆虫や蝶が、環境が生存に適さない条件(例えば、冬季や乾季)を乗り越えるために、成長や活動を一時的に停止する状態のことを指します。蝶の場合、卵、幼虫、蛹、または成虫のいずれかの段階で休眠することがあります。この適応は、過酷な環境を生き延びるために重要な役割を果たします。

共生(きょうせい)Symbiosis:異なる種の生物が互いに影響を与えながら、密接な関係を持って生活することを指します。共生には、両方の生物が利益を得る「相利共生」、一方のみが利益を得て他方には影響がない「片利共生」、一方が利益を得て他方に害を与える「寄生」の3つの形態があります。蝶の場合、アリと幼虫が相利共生の関係を持つことが知られており、アリは幼虫を保護し、幼虫はアリに甘い分泌物を提供します。

胸部(きょうぶ)Thorax:むねの事。頭部と腹部の間にあり、蝶の場合は明確に分かれている。胸部は前胸・中胸・後胸の3つからなっており、中胸と後胸からは2対の翅、前胸・中胸・後胸からは3対の脚がついている。胸の内部は翅や脚を動かす筋肉で詰まっている。

偶産種(ぐうさんしゅ):その土地には生息しておらず、偶然に他の地域から運ばれてきて発生した種。

グリセリン(Glycerin):アルコールの一種で無色透明で蜜のような粘度をもつ。吸湿性が強く、ゲニタリアの保存などに利用できる。 →ゲニタリアの解剖方法

警戒色(けいかいしょく)Warning Color:体に毒を持つことで、それを天敵などに「警告」する意味を持つ派手な色のこと。ハチなどの黄色と黒のツートンカラーが最も代表的で、人間社会でも危険を知らせる色として根付いている。

形質(けいしつ)Trait:生物が持つ外見的または生理的な特徴のことを指します。例えば、蝶の翅の模様や色、幼虫の食性などが形質に該当します。形質は遺伝によって親から子に伝えられる場合が多く、環境要因との相互作用によって表現されることもあります。進化や適応の研究では、この形質の変化が重要な手がかりとなります。

脛節(けいせつ)Tibia:脚の節で胸部から4節目の部分のこと。 →成虫の体:胸部

ゲニタリア(Genitalia):腹部先端にある、生殖に使われる部分のこと。通常腹部の第8節以降にそのしくみが見られる。 →ゲニタリアについて

ゲニタリア・チューブ(Genitalia vial):ゲニタリアを保存するのに使用される小型の容器。ガラスやプラスチック製のものがある。 →ゲニタリアの解剖方法

原白血球(げんはっけっきゅう):体液の成分の一つ。 →体液と心臓のページ

綱(こう)Class: 蝶の分類

後脚(こうきゃく)Hind Leg:うしろあしの事。胸部より出ている3対の脚の内、一番後ろ側(腹部の方)にある1対の脚のこと。後脚は、後胸から出ている。

後胸(こうきょう)Hind Thorax, Metathorax:昆虫類の胸部は、更に前胸、中胸、後胸と細分することが出来る。後胸には後脚後翅がついている。蝶の場合、この三つの胸部を外見より見分けるのは難しい。

工業黒化型(こうぎょうこっかがた)Industrial Melanism:工業地帯の煤煙(ばいえん)などによって、環境の木などが黒くなることによって発生率が高くなる黒化型のこと。 →種の進化について(オオシモフリエダシャクの例)

高山蝶(こうざんちょう)High Elevation Butterflies:日本では、日本アルプスや大雪山など標高の高いところに生息する蝶類を指す。しかしながら、これらの高山蝶は国外(特に北方で)は標高が低いところでも生息していることがあり、一概に日本の高山蝶が、世界的にも高山蝶というわけではない。

後翅(こうし)Hind Wing:うしろばねの事。蝶の場合、2対の翅の後ろ側についている後胸から出ている1対の翅でアゲハチョウやシジミチョウの仲間では、とがっている部分があり「尾」と呼ばれる部分が発達するものが多い。

構造色(こうぞうしょく)Structural Color:通常蝶の翅の色は鱗粉色素の色によるものだが、中にはモルフォチョウに代表されるように、鱗粉の構造(形状)により、ある特定の波長の光が反射され、本来の色でない色がみえる。

交尾(こうび)Mating:オスがメスに精子を渡す配偶行動のこと。

交尾嚢(こうびのう)Sphragis:ウスバアゲハ類などに見られる、雄が交尾したときに雌の腹部に着ける栓のようなもの。これで雌が他の雄と交尾が出来ないようにする。スフラギスとも呼ばれる。

口吻(こうふん)Proboscis:口のこと。蝶の場合、吸収管のことを指し、通常口髭(パルピ)の間にぜんまい状にしまわれている。 →成虫の体:頭部(口吻)

香鱗(こうりん)Scent Scales:蝶の鱗粉の中で、ある種の臭いを発する鱗粉のこと。通常の鱗粉とは形状も異なり、多くの蝶のオスがメスを刺激するのに使用される。種類によっては発香鱗は通常の鱗粉の中に紛れ込んでいたりしているが、発香鱗が集まり性標を作ることがある。

個眼(こがん)Ommatidium:集まって複眼をなす一つ一つの目のこと。 →成虫の体:頭部

国蝶(こくちょう)National Butterfly:その国で選ばれた、国を代表する蝶のこと。日本の場合、オオムラサキが国蝶となっている。 →日本の国蝶オオムラサキ

コスタ(Costa):バルバの上部のこと。 →ゲニタリアについて

個体変異(こたいへんい)Individual Variation:同じ種類の蝶で、一頭一頭がそれぞれ翅の模様(またはその他の特徴)が違う変異があること。また、同じ地域では同じ模様をしているが、違う地域では異なる地域変異などもある。 →個体変異のページ

【サ行】

サックルス(Sacculus):バルバの下部、付け根あたりの部分のこと。 →ゲニタリアについて

蛹(さなぎ)Pupa, Pupae:幼虫と成虫の間にある形態。蛹では幼虫から成虫へと体が作り変えられる。 →蛹の体

三角紙(さんかくし)(Triangle) Envelope:蝶を採集したときに、蝶を収めておくパラフィン紙を折りたたんだ物。これに蝶を入れておけば、蝶が痛まない。 →三角紙の作り方

色素(しきそ)Pigment:蝶の翅や体の色を作り出すときに使われる物質で、主に生物が合成する天然の化学物質から成ります。色素は、光の吸収や反射の特性によって様々な色を生み出します。蝶の色は、捕食者から身を守るためのカモフラージュや、交尾相手を引き付けるための重要な役割を果たします。一部の蝶の鮮やかな色は、色素ではなく構造色によるものもあります。

翅棘(しし)frenulum:後翅基部から出ている棘状の器官。前翅の抱鉤(だきかぎ)に引っ掛けて、後翅と前翅をつなげる役目があるといわれている。ほとんどの蛾で見られ特徴で、蝶ではラッフルズセセリのみ持っている。

シジミチョウ科(か)Lycaenidae: →シジミチョウ科のページ

実態顕微鏡(じったいけんびきょう)Stereo Microscope:左右レンズがある顕微鏡。検体をある程度立体的に見ることが出来、 顕微鏡の様に見える像がさかさまにならない。ゲニタリアの解剖に使われる。 →ゲニタリアの解剖方法

シノニム(Synonym):同じ蝶に2つ以上の学名が付けられていること。プライオリティ・ルールにより、先に発表された学名が有効となる。 →学名について

翅脈(しみゃく)Wing Veins:翅に見られる筋のような脈のこと。蛹から羽化したときには体液が翅脈に送り込まれ、翅を伸ばす機能があり、また、翅が固まった後には翅を支える骨のような役割を持つ。種類によって独自の脈相を持っており、翅の模様が見えないときは、翅脈で種類を判断することが出来る。 →翅の各部名称

ジャノメチョウ亜科(じゃのめちょうあか)Satyrinae: →ジャノメチョウ亜科のページ

種(しゅ)Species:何匹かの昆虫が、共通の形態や性質を持ち、その雌雄が野外で自由に自然に交尾し、受精卵が異常なく成虫まで育ち、しかも代々健全な子孫が育っていく場合、その昆虫は同一の種と決定することが出来る。(昆虫用語小辞典より)

受胎嚢(じゅたいのう)Sphragis:一部の蝶のオスが交尾の際にメスに付ける特殊な構造物で、他のオスとの交尾を防ぐ役割があります。この構造により、最初に交尾したオスが自分の遺伝子を確実に残すことができます。受胎嚢は硬化した蓋や袋のような形状をしており、主にアゲハチョウ科やタテハチョウ科の特定の種に見られます。

小球細胞(しょうきゅうさいぼう)Spherule Cell:蝶や他の昆虫の体液中に見られる細胞の一種です。主に免疫反応や代謝活動に関与し、病原体や異物に対する防御機能を果たします。これらの細胞は、昆虫の体内環境を安定させる上で重要な役割を担っています。 →体液と心臓のページ

食樹(しょくじゅ)Host Plant:蝶が幼虫時代に食べる樹木の種類のこと。オオムラサキであればエノキなど。

食草(しょくそう)Host Plant:蝶が幼虫時代に食べる草木のこと。オオルリシジミであればクララなどが例。

触角(しょっかく)Antenna:頭部から突出しているツノの様な嗅覚用器官。蝶の場合は先がこん棒状になっていることが殆どで、蛾のように尖ったりくし状になったりすることはない。 →成虫の体:頭部(触角)

シロチョウ科(しろちょうか)Pieridae: →シロチョウ科のページ

心臓(しんぞう)Heart: →体液と心臓のページ

新熱帯区(しんねったいく)Neotropical Region:生物地理区の一つで、中南米全域を含み、メキシコ南部から南アメリカ大陸、カリブ海諸島まで広がる地域を指します。この地域は、多様な蝶やその他の動植物の生息地として知られ、特に熱帯雨林の豊富な生物多様性が特徴的です。→世界の蝶

新北区(しんほくく)Nearctic Region:生物地理区の一つで、北アメリカ大陸を中心に、カナダ、アメリカ合衆国、グリーンランド、そしてメキシコ北部を含む地域を指します。この地域は温帯から寒帯にかけての気候帯が広がり、多様な生態系と固有種が存在することが特徴です。 →世界の蝶

心門(しんもん)Port:蝶の心臓(背脈管)に見られる体液が入る穴。 →体液と心臓のページ

心門弁(しんもんべん):心門にある体液の逆流を防ぐ弁。 →体液と心臓のページ

吸いもどし(すいもどし):蝶の成虫に見られる行動で、乾いた糞などに自分の排泄物をかけ、それをまた口吻から吸い戻す行動。 →蝶の行動:吸水

垂蛹(すいよう):腹部先端を枝などにくっつけ、頭部を下にしている蛹のこと。 →蛹の体 スーパーウンクス(Superuncus):アゲハチョウやシロチョウの仲間の一部に見られる、腹部第8節に見られる突起。 →ゲニタリアについて

スフラギス(Sphragis):交尾嚢

生物地理区(せいぶつちりく)Biogeographic Region:地球上の生物が分布する地域を、生物相の特徴や進化の歴史に基づいて区分したものです。例えば、熱帯区旧北区新北区などがあります。それぞれの地域は、独自の動植物相を持ち、地理的な障壁や気候条件がその分布を決定づけています。生物地理区の理解は、生物多様性の保全や進化の研究において重要な役割を果たします。 →世界の蝶

性紋(せいもん)Scent Patch性標

性標(せいひょう)Scent Patch香鱗により構成される翅にある模様。オスのみに見られる特徴で、メスを刺激する物質が含まれていると言われている。

ゼフィルス(Zephyrus):ミドリシジミ属 (FavoniusChrysozephyrus など) に属する蝶の総称です。主にアジア地域に生息し、金属光沢のある美しい緑色や青色の翅を持つことが特徴です。幼虫は特定の植物を食草とし、多くの場合、成虫は短期間のみ活動します。観察や撮影が難しいことから蝶愛好家の間で人気の高いグループです。

前胸(ぜんきょう)Prothorax:胸部の一番頭に近い節。その後に中胸、後胸と続き、この3節で胸部を作る。

前翅(ぜんし)Forewings:4枚の翅のうち、前方の2枚の翅のこと。 →翅の各部名称

前翅長(ぜんしちょう)Forewing length:蝶の前翅の根元から先までの長さ。このほかに蝶の大きさを表すのに開長が使われる。 →開長と前翅長について

全北区(ぜんほくく)Holarctic Region新北区旧北区を合わせた北半球の大陸。 →世界の蝶

前蛹(ぜんよう)Prepupa:蛹になる直前の動かなくなる幼虫の状態。→蛹の体

爪間盤(そうかんばん)Alorium:脚の爪の間にある器官。細かい毛が生えていて、滑り止めの役目があるとされている。

属(ぞく)Genus:同じ特徴を持つをまとめた分類単位。例えば、アゲハチョウとキアゲハは同じアゲハチョウ属(Papilio)になる。

【タ行】

体液(たいえき)Body Fluid:昆虫の体内にある液体、または血液のこと。 →体液と心臓のページ

腿節(たいせつ)Femur:脚の節で、胸部から3番目の節のこと。 →成虫の体:胸部

代置種(だいちしゅ):かつて同じ祖先を持つと思われる蝶が、島などの離れた場所でそれぞれ別種に発展したと思われるもの。代表的なものにはナガサキアゲハが揚げられる。なお、代置種の分布は基本的に重ならない。→代置種について

帯糸(たいし)Silk Girdle:枝や葉などから帯蛹の体をささえるベルトの様な糸のこと。→蛹の体

タイプ標本(たいぷひょうほん)Type specimen:ある種の基準となる標本のこと。正式にはホロタイプという。 →タイプ標本について

帯蛹(たいよう)Girdled Pupa:これは、蛹が枝や茎などに帯状の糸(帯糸(たいし))で体を支えられた状態で固定される形態を指します。帯蛹は、多くのアゲハチョウ科(Papilionidae)やシロチョウ科(Pieridae)の蝶に見られる特徴です。 この形態では、蛹の背中側が基部と帯状の糸でしっかりと固定されているため、風や振動によるダメージを受けにくいという利点があります。また、帯状の糸は、蛹が地面や他の障害物に触れず、安定した環境で羽化するのを助けます。→蛹の体

多化性(たかせい)Multivoltine:蝶が1年の間に複数回成虫として発生する性質を指します。多化性の蝶は、温暖な地域や季節が長い地域に多く見られ、モンシロチョウやアカタテハなどがその代表例です。 この性質は環境の資源や気候条件に適応するための戦略であり、世代ごとに異なる環境で成長することで、種の生存率を高める役割を果たします。

タテハチョウ科(たてはちょうか)Nymphalidae: →タテハチョウ科のページ

脱皮(だっぴ)Ecdysis, Molting:甲殻類や昆虫など、外骨格をもった生物が成長に合わせてその外皮を脱いでいくこと。通常脱皮前に、新しい大きめの皮が外皮の下に出来、古い皮を脱ぎ去った後しばらくして、新しい皮がかたまり、できあがる。

地域変異(ちいきへんい)Geological Variation:→地理的変異

地理的変異(ちりてきへんい)Geological Variation:同じ種類でも、生息している地域によって翅の模様などが違ってくる現象。北の個体が南の個体より黒くなるなど、一定のパターンが見られることが多い。また、違いが大きいと、亜種や別種扱いされることが多い。

蝶道(ちょうどう):蝶が一定して飛ぶ、ルートのこと。特にアゲハチョウの仲間に顕著に見られ、オスがメスを探す有効な方法と思われる。→蝶の生態:蝶道

爪(つめ)Claws, Ungues:脚の先にあるかぎ状になった爪。通常各脚に一対ずつあり、シロチョウの仲間では先が二股に割れる。また、タテハチョウの仲間やシジミタテハの仲間では前脚に爪が無いことが多い。

テングチョウ亜科(てんぐちょうあか)Lybytheinae: →テングチョウ亜科のページ

展翅(てんし)Spreading, Mounting:昆虫の翅を広げて標本にすること。通常昆虫の胸部に針を刺して、展翅板を利用して展翅する。 →展翅方法

展翅板(てんしばん)Spreading (Mounting) Board:蝶などを展翅するときに使用する、道具。中央の溝に蝶などを刺して、展翅する。

転節(てんせつ)Trochanter:脚の節で、胸部から2番目の節のこと。→成虫の体:胸部

天然記念物(てんねんきねんぶつ)Natural Monument:文化財保護法の第69条によって定められている動物、植物、地質鉱物、または地域のことで、これに指定された種類は生死に関わらず採集する事は出来ない。→天然記念物について

冬眠(とうみん)Hibernating, overwintering, winter diapause:冬などいわゆる仮死状態で冬を眠るようにすごすこと。休眠のひとつ。

東洋区(とうようく)Oriental Region:生物地理区の一つで、南アジアや東南アジア一帯を含む地域です。具体的にはインド亜大陸、スリランカ、インドシナ半島、フィリピン、そしてインドネシアの一部(ジャワ島やスンダ列島)などが該当します。この地域は熱帯雨林が広がり、多様な動植物が生息していることで知られています。蝶ではアゲハチョウ科やタテハチョウ科の種類が豊富で、独特の進化を遂げた種が多く見られます。

土着(どちゃく)Endemic:その地域特有の生物や文化を指します。生物学では、特定の地域や環境にだけ生息している動植物を「土着種」または「固有種」と呼びます。例えば、日本固有の蝶として知られるギフチョウは、本州中部にのみ生息する土着種の一例です。土着種の存在は、その地域の生態系や進化の歴史を知る上で重要です。

突然変異(とつぜんへんい)Mutation:遺伝情報(DNAやRNA)の構造が変化し、それによって生物の形質や特性が変わる現象を指します。突然変異は、自然界での進化や多様性の源であり、環境適応の一因となることがあります。一方で、生存に不利な変異や病気の原因となる場合もあります。突然変異は、放射線、化学物質、遺伝子のコピーエラーなど、さまざまな要因によって引き起こされます。

トラップ Trap:蝶をおびき寄せるために人間が設置した、罠(わな)。オスが特定の色に集まる習性を利用したトラップや、エサを作りおびき寄せるトラップなどがある。

トリバネアゲハ Birdwing butterflies:キシタアゲハ(Troides)属、アカエリトリバネアゲハ(Trogonoptera)属、トリバネアゲハ(Ornithoptera)属の総称。

【ナ行】

生展翅(なまてんし)Spreading (Mounting) fresh specimens:採集してきた蝶を、まだ柔らかい内に展翅すること。 これに対して、一度乾いてしまった蝶を展翅するには、軟化展翅が行われる。

縄張り(なわばり)Territory:一頭のオスが占有(せんゆう)する一定の場所のこと。アゲハチョウやタテハチョウ、シジミチョウなどの仲間に見られ、縄張り内にメスが来るのを待っている。一箇所にとどまったオスが、近くを通りかかる蝶や他の虫を追いかけたり、同じ場所を飛んで回るのが観察される。

軟化展翅(なんかてんし)Spreading (Mounting) relaxed specimens:一度乾燥して硬くなった蝶を、軟化して展翅すること。 →軟化の方法

熱帯アフリカ区(ねったいあふりかく)Afrotropical Region:アフリカ大陸とマダガスカル島を中心とした生物区のこと。 →世界の蝶

【ハ行】

背脈管(はいみゃくかん)Heart:心臓のこと→成虫の体:体液と心臓

発香鱗(はっこうりん)Scent Scales:→香鱗

発生回数(はっせいかいすう):一年の間に新しい成虫が出てくる回数。1年に一回しか成虫が発生しない種や、一年を通して何度も発生する種などがいる。→蝶の一生

バルバ (Valva、Valvae [複]):オスのゲニタリアに見られる、メスの腹部をはさむ2つの板のようなもの。 →ゲニタリアについて

パルピ (Pulpi): →下唇髭

ハルペ (Harpe): ゲニタリアのバルバの内側に見られる部分。硬い板で出来ており、その先に突起があることがある。 →ゲニタリアについて

ハンド・ペアリング Hand Pairing:人工的にオスとメスを交尾させる方法。両手に成虫を持ち、交尾器をつなげる。

尾状突起(びじょうとっき)Tail後翅に見られるしっぽのこと。

ヒルトッピング Hill Topping:蝶が山頂に集まる現象。なぜ蝶が山頂に集まるか、具体的な理由は分からないが、オスとメスが出会う確率を上げていると言われている。→蝶の行動:メスを探す

被蛹(ひよう)Obtect Chrysalis:被蛹は、蝶や蛾などの完全変態を行う昆虫の蛹(さなぎ)の一種で、体全体が硬い外皮に包まれた形態をしています。この外皮は防御の役割を果たし、捕食者や環境の変化から蛹を守ります。蝶の蛹は多くの場合、この被蛹に分類されます。

標本箱(ひょうほんばこ)Insect Drawer:標本を保存する箱。一般的には蓋側はガラス張りになっており、中身が見える。密閉されており、湿気や害虫を締め出す役割を持ち、標本を長持ちさせることが出来る。ドイツ箱が有名。

フェロモン(Pheromone):主にメスなどから出される、オスを臭いで誘う物質。蛾に多く見られるが、蝶には見られない。逆に、蝶の場合、オスが香鱗を持つ事が多い。

不完全変態(ふかんぜんへんたい)完全変態をする昆虫が、蛹を経て成虫になるのに対して、卵→幼虫→成虫のように、卵からふ化したときから成虫と似た姿をして成長していくこと。セミやバッタなどが不完全変態をする昆虫にはいる。

複眼(ふくがん)Compound eye:個眼が集まって出来た目のこと。人間の目には一つの目に見えるが、顕微鏡などで拡大すると小さな目が集まっているのが見える。 →チョウの体:頭部(複眼)

腹脚(ふくきゃく)Prolegs:幼虫の腹部にみられる脚のような器官。長い体で枝などにしがみついたり、歩く時に使われる。 →幼虫の体:胸部・腹部

ふ節(ふせつ)Tarsus:脚の脛節より先にある節のこと。蝶の種類によってこの脛節は1~5節に分かれる。その先には爪がある。→成虫の体:胸部

プライオリティ (Priority):生物を命名したときに、シノニムホモニムが発生した場合、先に発表した学名が有効になること。先取権。 →学名について

プラズマ細胞(ぷらずまさいぼう)Plasma Cell:体液の成分の一つ。→体液と心臓のページ

プルビリ Pulvilli(複), pulvillus(単):脚の先にある爪の外側にある器官。じょく盤ともいう。→成虫の体:胸部

分類(ぶんるい)Classification:生物を、その特徴に基づいてグループ化すること。 →蝶の分類

分類単位(ぶんるいたんい)Classification Unit:分類学上定められた、分類の単位。上から、界・門・網・目・科・属・種があり、それぞれの単位の間にも、亜門、亜網、亜目、亜科、亜属、亜種のように、さらに細かい単位がある。 →蝶の分類

ヘアペンシル Hair Pencil:マダラチョウの仲間に見られる、腹部から出る黄色でブラシ状の器官。主にオスがメスに対して刺激する(交尾を促す)時に使われ、捕獲されたときも天敵(または人間?)に対しての威嚇として使われる。→成虫の体:腹部

平均台(へいきんだい):標本の高さや、ラベルの高さを揃えるのに使用する階段状の道具。→標本の作り方

ベイツ型擬態(べいつがたぎたい)Batesian Mimicry:ドイツの探検家、ヘンリー・ベイツが南米で発見した。無毒の虫が、毒虫の形・色に似ることによって、天敵から逃れ、生存率を上げる。 →擬態について:ベイツ型

変異(へんい)Variation:同じ種類の間で翅の模様などが違うこと。季節変異地域変異個体変異などがある。

変態(へんたい)Metamorphosis:昆虫が、卵→幼虫→蛹→成虫というように、形態を変えて成長すること。完全変態と、不完全変態の二種類がある。

放蝶(ほうちょう)Releasing Butterflies:人工的に繁殖させた蝶、または他地域から持ち込んだ蝶を人工的にある環境に放つ行為。放蝶については、常に賛否両論がある。 →放蝶について

保護色(ほごしょく)Cryptic Color:通常隠蔽色のことを指す。

捕虫網(ほちゅうあみ)Net:主に虫などを捕らえるための網。網の生地は捕らえた虫を傷つけないよう、また、小さな虫が捕らえられるよう、目が細かくなっているのが特徴。

ホモエイシス Homoeosis:体の一部が別の部分に似た形態や機能を持つように変化する現象を指します。遺伝子の発現異常や突然変異によって起こることがあります。蝶では、脚が触角のように発達するなどの例が観察されることがあります。

ホモニム Homonym:2種類以上の蝶に同じ学名がつけられていること。この場合、プライオリティ・ルールが適用されて、先に発表された学名が有効となる。 →学名について

ホルモン Hormone:生物の体内で分泌され、成長や代謝、行動などの生理的なプロセスを調節する物質です。蝶などの昆虫では、脱皮や変態を制御するホルモンが重要な役割を果たします。たとえば、エクジソン(Ecdysone) は脱皮を促進し、ジュベナイルホルモン(Juvenile Hormone) は幼虫期の維持に関与します。

【マ行】

前脚(まえあし)Foreleg:蝶や昆虫の胸部から生える3対の脚のうち、最も前側に位置する脚です。前脚は通常、歩行や物をつかむために使われますが、タテハチョウ科の一部の種やシジミタテハの仲間では前脚が退化しており、実用的には使われない場合もあります。このため、これらの蝶は「四脚歩行」と呼ばれる特徴を持つことがあります。

前翅(まえばね)Forewings:4枚の翅のうち、前方の2枚の翅のこと。 →翅の各部名称

マクロレンズ Macro Lens:蝶などを撮影するときに使用する、一眼レフカメラ用レンズ。100mmや50mmなど倍率が違う種類がいくつかある。 →蝶の撮影

マダラチョウ亜科(まだらちょうあか)Danainae:全世界の主に熱帯区に分布するグループ。頑丈な体のつくりに、体内に幼虫の時蓄えた食草の毒を持つ種類が多い。学者によっては独立の科(Danaidae)として扱われている。→マダラチョウ亜科のページ

繭(まゆ)Cocoon:蛹になる際に幼虫が糸を吐いて成形する、蛹を守る殻のようなもの。蛾ではヤママユガやカイコなどが有名。蝶についてはアゲハチョウやシジミチョウなどの一部で簡単な繭を作ることが観察されている。

マルピーギ管(まるぴーぎかん)Malpighian tubules:中腸の後ろにある、人間の腎臓(じんぞう)にあたる器官。左右から3本ずつ細長い器官が、合計6本ある。尿酸などの毒素となる成分を取り除いたり、体内の水分や塩分濃度を調整する。マルピーギ氏が発見したことからこの名がついた。→消化のページ

ミコニウム Miconium: →蛹便

蜜腺(みつせん)Honey gland :シジミチョウやシジミタテハの幼虫に見られる、糖分を含んだ液体を出す器官。

耳(みみ)Ear:音を聞く体の器官のこと。蝶についてはドクチョウやカスリタテハが耳にあたり器官を持っているとされている。 →成虫の体:胸部

ミミック Mimic擬態関係にある種の、毒を持たず、モデルを真似している種のこと。 →擬態について:ベイツ型

脈相(みゃくそう)Wing Vein Pattern翅脈の様子。種類によって翅脈の別れ方等のパターンが違う。

ミュラー型擬態(みゅらーがたぎたい)Mullean Mimicry:毒を持つ虫同士が、お互いに形や色を似せることによって、天敵に対する警戒効果を上げること。ミュラー氏が発見したことからこの名がある。 →擬態について:ミュラー型

迷蝶(めいちょう)Stray:台風や季節風などに吹き飛ばされ、台湾などから来る本来日本には生息していない蝶のこと。

毛眼(もうがん):表面に毛が生えている複眼のこと。反対に生えていないものは裸眼という。

毛束(もうそく):長い毛(鱗粉)が束になった状態のもの。例としては、アオスジアゲハなどのオスの後翅内縁の白い毛束があげられる。

モデル Model擬態関係にある種の、毒を持つ側の種のこと。 →擬態について:ベイツ型

【ヤ行】

ユクスタ(Juxta):ゲニタリアエデアグスを支える板状の部分のこと。 →ゲニタリアについて

蛹化(ようか)Pupation幼虫からになること。

葉状片(ようじょうへん)Epiphysis:アゲハチョウ科の成虫の前脚脛節に見られる棘のようなもの。その機能については詳しく知られていない。

幼虫(ようちゅう)Larva, Larvae(複)食草をひたすら食べて成長する過程の状態。成虫のように翅は持たず、食べることだけに専念する体の仕組みとなっている。→幼虫の体

蛹便(ようべん)Miconium:羽化した蝶が最初に排泄する糞(尿)のこと。通常レンガ色をしていて、蛹の時にたまった不要物が一気に出てくる。→羽化のページ

【ラ行】

裸眼(らがん):表面に毛が生えていない複眼のこと。反対に毛が生えている複眼は毛眼という。

裸蛹(らよう)Exposed Chrysalis:蛹の形態の一つで、繭や覆いに包まれることなく外部に直接さらされた状態で発生します。このタイプの蛹は多くの蝶に見られ、植物の茎や枝にぶら下がるなどして周囲の環境に溶け込むことが多いです。裸蛹は捕食者から身を守るために隠蔽色や保護色を持つ場合があります。

鱗翅目(りんしもく)Lepidoptera:昆虫網の中で、大きな2対の翅を持ち、その翅に鱗状の鱗粉がならんでできた模様を持つもののグループ。蝶・蛾がこれに含まれる。

鱗粉(りんぷん)Scale:蝶や、蛾の仲間の翅に見られる粉状のもの。体毛が進化して出来たものといわれ、拡大すると翅の上に魚の鱗(うろこ)のように並んでいる。又、鱗粉の一つ一つはチューリップ型や四角型など色々な形をしており、中には雌をにおいで刺激する香鱗など変化に富んでいる。鱗粉は水をはじき、蝶を雨などから守る役目もある。→鱗粉のページ

レック Lek:蝶が集まってくる、丘や林の中の開けた場所など地理的特徴がある場所のこと。食草や花などのエサがちらばってある場合、オスとメスの出会う確率が低くなるため、このような手段をとって出会う確率を上げていると思われている。→蝶の行動:メスを探す

【ワ行】

ワシントン条約(わしんとんじょうやく)CITES:条約の一つで、絶滅に瀕している生物の輸出入を基本的に禁止する国際間取引に関する取り決め。 →ワシントン条約について

和名(わめい)Japanese Name:日本で使用されている、一般的日本語の蝶の名前。アゲハチョウ、モンシロチョウなど。 →学名について


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