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栄養分をとる

蝶は他の昆虫の仲間と比べると、変わった口をしています。それは、花の蜜を吸うのに特化していて、殆ど全ての鱗翅目の仲間がその口をしています。

口吻(こうふん)

吸収管(きゅうしゅうかん)とも呼びます。ストロー状に伸びた口は、蝶の特徴の一つで、絵に描かれた蝶でも多くの場合このぐるぐる巻きの口を描いたものが見られます。

蝶の口
▲ハーフォードモンキの顔

このぐるぐる巻きになった口は、実は顎(あご)が進化したもので、断面図を見ると二つの樋(とい)みたいな左右の顎が合わさって出来ていることが分かります(下図参照)。蛹から蝶が羽化するところを観察したことがある人はご存じかもしれませんが、下の写真の様に、羽化したばかりの時はこの二つの顎はまだ別々でくっついていません。羽化してから左右の口をチャックのようにつなげます。

蝶の口(合わさる前) 蝶の口(合わさった後)
▲蛹から羽化したばかりのヒョウモンドクチョウ。
まだ左右の口がくっついていない状態。目の下から出ている髭みたいなものは口の先です(左)
  しばらくしてくっついた状態(右)



▲口吻の断面図(Forster&Wohlfahrtより作成)。
黒い丸は神経、オレンジは筋肉、青は気管。
左の顎は黒、右の顎は灰色で描かれています。

口吻の長さは蝶の種類によってまちまちで、それぞれ関係している食物(花など)によって変わります。スズメガの仲間ではこれが顕著に現れる種類がいて、自分の体長より長い口吻を持つものもいます。

口吻は伸ばしたり、巻いたり自在ですが、伸ばしたときに口吻が曲がる場所は決まっていて、その場所を屈折点(くっせつてん)とよびます。蝶が花の蜜を吸うときにこの屈折点から下が前後に動いて蜜を探す行動を見ることができます。

 サラツマキチョウの口吻の動き(MPEG) → sara_sipping.mpg

下唇鬚(かしんしゅ)

蝶の「鼻」に見える部分で、「パルピ(Palpi、単数形はPalpus)」ともよばれます。主にアゲハチョウ科、シロチョウ科の仲間以外であれば、簡単に肉眼で確認する事ができます(例外もあります)。下唇鬚は3節からなり、根元から第1節、第2節、第3節と呼びます。通常第1節は太くて短く、第2節は細長くなっています。第3節は種類によって様々で、これを種の特定や分類に利用することが出来ます。

下唇鬚の機能については、今のところ次の2つが、蝶の種類によって違うようですが、観察されています。

1.先っぽの節には感覚孔が開いていて、触角同様に匂いを感じ取ることができる。

2.複眼を掃除する機能。特に熱帯で腐った果実などに集まる蝶の多くは、下唇鬚で複眼をワイパーのように拭いている姿が観察されています。

3.口吻をはさむようになっていることから、口吻を掃除するのにも利用されていると考えられています。

下唇鬚が発達していて有名なのは、テングチョウの仲間で、アメリカテングチョウはほぼ胸部と同じくらいの長さのパルピを持っています。また、あまり下唇鬚の目立たないアゲハチョウの仲間でもテングアゲハという変わり者もいます。


▲アメリカテングチョウとテングアゲハ
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