模様が同じ蝶と違う蝶
蝶の収集家の中で、ひたすらある種を集めている人がいます。標本箱いっぱいに並べられた同じような蝶を見ると、むやみに集めているようにも見えます。収集家がある種類をひたすら集める理由には主に2つあります。一つは、同じ種類でも場所によって翅の模様が変わる地域変異(ちいきへんい)を楽しむもの、もう一つは同じ種類でも一頭一頭翅の模様が違う個体変異(こたいへんい)を楽しんでいるものです。
蝶は種類によって、どの個体もハンコを押したように同じ模様をしている種類もいれば、一頭一頭が違う模様をしている場合があります。ここでは、個体変異について紹介します。
◆オオアメリカウスバに見られる例
個体変異の楽しみをちょっとご紹介しましょう。北アメリカの西部に見られるオオアメリカウスバ(Parnassius clodius)は個体変異の見られる種類です。下にあるのはほとんど同じ時期、同じ場所で採集した蝶たちです。
まずは、下の写真にあるオオアメリカウスバの模様の特徴を観察してみてください。主に変化が見られるのはa~fまでの模様です。