蝶の歴史
■現在私たちが見ている蝶は、何時どの様に地球上に現れたのでしょうか。数少ない蝶の化石を元に、蝶の歴史を見てみましょう。
蝶の誕生
地球上に陸上性植物が誕生し、それを追うようにして誕生した昆虫類。彼らの最も古い化石はデボン紀前半(今から4億1千2百年以上前)のもので、そのことから昆虫の起源はシルル紀後半ではないかと予想されていました。最近DNAの解析をもとに計算された予想では、昆虫は4億7千9百万年前ごろのオルビドス紀に、海岸付近で誕生したものと予想されています。
それから約2億年たったジュラ紀後半から白亜紀前半にかけて鱗翅目と思われる化石が見つかっていて、このころより蝶の祖先は誕生したと考えられています。これはちょうど植物が花を誕生させた頃と同じ時期です。昆虫と花は大変密接な関係にありますから、当たり前なのかもしれません。
残念ながら、蝶などの昆虫類の化石は見つかることが非常にまれで、恐竜の化石のように多く見つかるようなことはありません。しかしながら、発見された数少ない化石の中から、蝶達はかなり昔からその姿を変えていないことが分かっています。現在確認されている種類は、新世人類が誕生したときには既に出そろっていたと思われています。
まずは、生物全体の歴史を見てみましょう。上の時代ほど、最近のものとなっています。
地質年代表
絶対年代
(千年前) |
代 |
紀 |
世
|
生物界の変化 |
0~10
|
新
生
代
|
第四紀 Quarternary
|
現世 Holocene |
哺
乳
類
時
代
|
|
|
10~2,580
|
更新世 Pleistocene |
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新世人類の出現 |
2,580~5,333
|
第三紀 Tertiary
|
新
第
三
紀
|
鮮新世 Pliocene |
|
|
5,333~23,030
|
中新世 Miocene |
|
|
23,030~33,900
|
古
第
三
紀
|
漸新世 Oligocene |
|
|
33,900~56,000
|
始新世 Eocene |
|
|
56,000~66,000
|
暁新世 Paleocene |
|
|
66,000~145,000
|
中
生
代
|
白亜紀 Cretaceous
|
ア爬
ン虫
モ類
ナ時
イ代
ト
|
単子葉類と双子葉類の分裂
被子植物(花)の誕生 |
鳥類出現(1.3億年前)
鱗翅目出現
|
145,000~201,300
|
ジュラ紀 Jurassic
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恐竜大繁栄 |
201,300~252,170
|
三畳紀(トリアス紀) Triassic
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哺乳類出現(2.2億年前)
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252,170~298,900
|
古
生
代
|
二畳紀(ペルム紀) Permian
|
両
生
類
時
代
|
|
|
298,900~323,200
|
石炭紀 Carboniferous |
ペンシルバニア紀 Pennsylvanian |
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323,200~358,900
|
ミシシッピー紀 Mississipian |
|
|
358,900~419,200
|
デボン紀 Dvonian |
魚類時代
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森林の始まり |
爬虫類出現(3.6億年前) |
419,200~443,400
|
シルル紀 Silurian |
海
動生
物無
時脊
代椎
|
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両生類出現(4.2億年前)
翅のある昆虫の出現 |
443,400~485,400
|
オルビドス紀 Ordvician |
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昆虫類出現 |
485,400~541,000
|
カンブリア紀 Cambrian |
陸上植物の誕生 |
魚類出現 |
541,000~4,600,000
|
先カンブリア時代 Precambrian
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蝶は何から進化したのか?
人は猿人(サルではありません、人間とサルの共通の祖先です)から進化したというように、蝶もある生物から進化してきた生物です。地球上に生命が誕生したと言われるのが30~35億年前。最初はRNAの塊からスタートしたと予想されています。このバクテリアの様な生物が蝶になるまでどの様に進化してきたのかを見てみましょう。
約38~25億年前
生命の誕生。海の中で、自分を増やしていける、全ての生物の基礎となるRNAが出来る。そのうち単細胞生物となる。ゾウリムシのような、一つの細胞でできた微生物が誕生しました。
一方でシアノバクテリアが誕生して、日光と二酸化炭素と水をエネルギーに変換する、光合成を始める。
約25~8.5億年前(原生紀)
細胞が複雑化。
約8.5~6.35億年前
地球のほとんどが氷におおわれていたと考えられています。
約6.35~5.42億年前(エディアカラ紀)
エディアカラ生物群と呼ばれる、最古の多細胞動物が発展。
約5.4~4.8億年前(カンブリア紀)
三葉虫(さんようちゅう)の発展。最初の脚が縮み、大顎となる。このころより昆虫の仲間とクモの仲間が分かれる。日本でも見られるカブトガニはこの原始的なクモの仲間にはいる。
Misof氏らによるDNA解析によると、植物類が海から陸に進出した時と同時に、昆虫類も発生した(約4.79億年前)という結果が出ていますが、カンブリア紀から昆虫類の化石は見つかっていないので、まだ課題が残されている状態です。
約4~2億年前
昆虫類が大発展。これは植物と一緒に発展したと考えられています。この頃に翅も誕生したと考えられています。
この頃には、開長60~75センチにもなるトンボの仲間、メガネウラが生息していました。おそらく地球上存在していた昆虫で最も大きい種類でしょう。
約1.45億~6,600万年前(白亜紀)
植物が花を誕生させた白亜紀初期に、蝶の仲間も誕生したと考えられています。
Bernhard Misof et al., 2014. Phylogenomics Resolves the Timing and Pattern of Insect Evolution. Science 346: 763
. DOI: 10.1126/science.1257570
2014年2月版国際年代層序表
Lloyd, Christopher. 2008. What on Earth Happened? The complete story of planet, life, and people from the big bang to present day. Bloomsburry Publishing Plc (中里京子訳)
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