▲地面で保護色となって見えにくい、カリフォルニアオオセセリAgathymus stephensi(アメリカ、カリフォルニア州)
隠蔽(いんぺい)型の擬態とは、生物が自分の住んでいる環境に体を似せて、天敵から身を守ることを言い、保護色(ほごしょく)とも呼ばれています(要は、「かくれんぼ」をしているのです)。これは蝶以外の昆虫類でも多く見られる現象です。身近な生き物で例をあげると、バッタやナナフシが良い隠蔽の例と呼べるでしょう。両方とも自分の体を自分が住んでいる草むらの草や木の枝に体を似せて、鳥などの天敵から身を守ろうとしています。
蝶の場合、多くのタテハチョウ科の蝶が羽の裏面を隠蔽色にしています。もっとも有名な例は、沖縄にも生息する、コノハチョウでしょう。この蝶は、羽全体を枯れ葉のような色・形にして隠れています。
枯葉そっくりのコノハチョウ(裏)
身近な蝶では、キタテハやルリタテハも見事な隠蔽色の羽をもっています。
▲裏が木の皮に似ている、アメリカシータテハ。(カナダ、バンフにて撮影)
この様なときは、隠蔽色にはなりませんが・・・(^^;)。
羽の裏面に対して表が隠蔽色になっている蝶では、南米に生息している、カスリタテハの仲間があげられます。これらの蝶は、羽の模様が木の幹についているコケや地衣に似ていて、頭を下に向けて木の幹に羽を広げてとまっています。ギフチョウについても、春の枯れた草むらでは隠蔽色となっています。
また、蝶の仲間である蛾は、隠蔽のプロといっても良いほど、巧妙な形や色をしたものが多く、「これが蛾なのか」とよく驚かされます。みなさんも、自分の周りにいる生物たちを観察してみましょう。意外な発見があります。
▲岩に蛾が隠れています。(アメリカ合衆国オレゴン州マウント・フッドにて撮影)