新熱帯区の蝶
■新熱帯区は、北米大陸アメリカ合衆国南部から、南米大陸最南端のアルゼンチンまでが含まれます。特にアマゾン川流域には、昆虫類が爆発的に進化しており、種類数も圧倒的多さを誇っています。ここでは、この地区の特徴的な蝶を紹介します。
爆発的発展を遂げるアマゾン地区
南米大陸の北部に流れるアマゾン川流域には、まだ人の手が入っていない原生林が多く残されています。赤道近くにあり、雨が多く降るこの地域には、沢山の種類の蝶たちが生息しています。場所によっては未だに調査されていないところもあり、まだ新種が沢山見つかる可能性があります。
一方、このような熱帯雨林は開発の波に襲われていて、森林伐採が社会的問題になっています。→消えゆく熱帯雨林
固有亜科の多い新熱帯区
新熱帯区は、他の地区と比べても圧倒的な種類の蝶たちが生息しています。新熱帯区だけで、世界のおよそ43%の種類(約8000種)が生息しているといわれています。また、ここの地域でしか見られない蝶の亜科が沢山います。代表的な亜科ではモルフォチョウ亜科、フクロウチョウ亜科、ドクチョウ亜科などがあり、これらのグループは新熱帯区以外で見ることは出来ない蝶たちです。
レテノールモルフォ、キオビフクロウチョウ、メルポーネドクチョウ
また、このほかの小さなグループでも新熱帯で大発展を遂げているものがあります。世界のほぼ90%以上の種類がこの地域にいるといわれているシジミタテハの仲間、ジャコウアゲハの仲間で緑と赤で着飾っているマエモンジャコウアゲハの仲間、羽の裏が数字に見えるウラモジタテハの仲間、羽の裏が木の肌のようなキノハタテハの仲間、世界で一番きれいと呼ばれ、高額で標本が取引されるミイロタテハの仲間などなど色華やかな種類が多く生息しています。
アルカスマエモンジャコウアゲハ、スカシツバメシジミタテハ
アンデス山脈
南米大陸の西側を南北に貫くアンデス山脈は標高も高く、その東と西を分ける大きな壁のような存在になっています。このため、アンデス山脈の東と西では生息している蝶たちが違います。
もとはアジア?-チリ
アンデス山脈の西側に位置する世界で一番長い国チリは、南米の中でも変わった特徴を持っています。まず、水で潤うアマゾンに比べ乾燥した砂漠が広がっており、熱帯雨林は見られません。蝶の種類も極端に少なく、赤道近くから南極まで広がっている国土の中に、生息しているのはわずか200種類程度といわれています。
チリにはアマゾンでは見られない、モンキチョウの仲間やタカネヒカゲといった全北区に共通した蝶たちが取り残されたように生息しています。これは甲虫など他の昆虫にもいえることで、大変興味深い地域となっています。
チリダイダイモンキ (チリ)