■世界の熱帯雨林については、まだまだ沢山研究しなければならないことが多く残っています。それは、蝶や昆虫、その他動植物だけの問題にとどまらず、私たち人間を含めた地球全体レベルの問題につながるかもしれないからです。ここでは、地球上の森がどの様になっているのかの現状について簡単に説明します。
森について
森は、地球上の動植物が集まって作った、生態系のかたまりです。そこには複雑で、まだまだ解明されていない仕組みなどが多く残されており、特に熱帯雨林についてはその仕組みはまだよく判明されていません。
熱帯雨林には、地球上の生物の50~70%が生息していると言われています。一度アマゾンで研究者が1本の木にどれだけの生物がいるかを確認したところ、なんと5千種類の動植物が発見され、新種もいくつか含まれていたそうです。
現在の森
今(1998年)から約8000年前、地球上には約60億ヘクタールの森が存在していたと言われています。それが、現在30億ヘクタールまでに減少しています。このままだと8000年後に森が無くなると考えられがちですが、実際は森が無くなる早さは近年加速していて、現在の早さで森が無くなると38年後に森が無くなってしまいます。
熱帯雨林については、特にひどく、1960年~1990年の間に約4.5億ヘクタール(熱帯雨林全体の5分の1に当たる)が消滅したと言われています。
1990年から1995年の間に先進国での森の面積は、880万ヘクタール増えている、と報告されています。しかし実態を詳しく見ると、伐採の面積より植樹をしている面積が多いためであり、いわゆる原生林のような生物達が自然の姿で住める森は減りつつあります。実は、現在残っているとされている30億ヘクタールの内、この様な原生林は12億ヘクタールしかないと言われています(この12億ヘクタールの75%は北アメリカ、ロシア、アマゾンに集中しています)。
現在原生林が多く残っている国は、ブラジル、スリナメ、カナダ、コロンビア、ベネズエラ、ロシア、フランス領ギアナのみで、日本を含む他の国の原生林はほぼ無くなってしまった状態です。
森の行方
森が伐採などで消滅していく早さはすさまじく、特に熱帯雨林については、今現在でも恐ろしいほどのスピードで無くなっていっています。学者によっては熱帯雨林だけで1秒間の間に0.5~1.0ヘクタール無くなっていると言われています。これは考え方によっては、信じられないスピードです。すなわち、単純に計算すると:
1秒 = 約1 ヘクタール(100m×100mの森)
1日 = 約86,640 ヘクタール
1年 = 約31,623,482 ヘクタール
これだけの森が、みなさんがこのページを読まれている間でもなくなっているのです。
また、学者によっては森の消滅と共に、沢山の生物が絶滅に追いやられていると言われています。現在発見されていない種類もいることを想定に含め、毎日137種類もの生物が絶滅しているという予測もあります。
果たしてこの様な森は、これからどうなっていくのでしょう?それは、これから私たち一人一人が決めていくのです。