蝶がサナギから出る時、翅が伸びませんでした。この翅を治してあげる事はできますか?
残念ながら、サナギから出てきた時(羽化)に失敗してしまった蝶は、翅を普通の状態に治してあげることは出来ません。蝶などの昆虫の体はキチン質という硬い物質で覆われています。私たち人間と違い、昆虫は骨を持たない代わりに、体の表面を硬くすることで体を支えています。蝶はサナギから出た時、翅が乾いてしまう前に急いで羽を伸ばします(羽化のページ参照)。乾いて固くなることにより、翅は丈夫になり、空を飛べるようになるのですが、一度固まってしまうと、もうその形は変えられません。
世界で一番大きい蝶は?
世界で最も大きい蝶は、ニューギニア島東部の極限られた地域に生息する、アレキサンドラトリバネアゲハ(Ornithoptera
alexandria)のメスです。この蝶は羽を広げると約30センチもの大きさがあります。このほかのトリバネアゲハ属(Ornithoptera)のメスも大変大きく、また、オスは美麗種が多いことで有名です。残念ながら、アレキサンドラトリバネアゲハは絶滅の危機に瀕しており、環境保護などが不可欠となっています。
日本で一番大きな蝶は?
日本で一番大きな蝶といわれているのは、モンキアゲハのメスといわれています。それも、北限に近い関東北部の夏型のもので、気温が涼しいためゆっくり育つために大型になるのだといわれています。続いて大きいものでは、ナガサキアゲハや沖縄の方にいるオオゴマダラがあげられます。
日本で一番小さな蝶は?
日本で一番小さな蝶は、ハマヤマトシジミと思われます。一見ヤマトシジミに似ているこの蝶は、前翅長がわずか5ミリほどと、世界でも小さな蝶の中に入ります。
乱獲で蝶がいなくなるって本当?
現在の所、マニアの乱獲による蝶の個体数の減少は確認されていません。台湾やパプアニューギニア、アフリカ、南米など、蝶を採集して装飾品などを作り生計を立てているところでは、かなりの数が採集されているのにも関わらず、蝶の個体数の減少は認められないといいます。「乱獲」という言葉は、人の注意を引く言葉でもあり、良くマスコミなどで報道されるケースがあります。しかしながら、その報道の多くが間違った情報を使い、記事を「ドラマ化」する傾向にあります。また、実際に蝶がいなくなった場所を調べてみると、乱獲ではなく、むしろ自然破壊によるものが多く見られます。蝶の採集家は記事を見ればそれが本当かどうか分かりますが、蝶について詳しく知らない人はそのまま信じられてしまうでしょう。
蝶の標本は腐らないの?
蝶の標本は、蝶を乾燥させて作るため、腐ることはありません。きちんとした湿気を入れない密閉された箱に収納し、ゴキブリや、ヒョウホンムシなどに食べられないようにナフタリンなどを入れておけば、半永久的に保存できるといわれています。実際世界の博物館に貯蔵されている蝶の標本の中には、非常に古いものもあり、その変わらない姿には驚かされます。ただし、保管状況が悪く、湿ったりすると腐ってしまうので注意して下さい。また、長い間日の光などに当てると、色素が退色して白くなってしまうので、これも注意が必要です。
蝶は何を食べているの?
蝶は花の蜜と決まっているようですが、実は蝶の種類によっては花の蜜を吸わないものも多いのです。タテハチョウの仲間は樹液や、腐った果実、獣糞などを好みますし、南米のドクチョウは花粉を食べます。一部のシジミチョウはアブラムシなどが出す蜜を吸うのが観察されていますし、ミドリシジミの仲間は朝露を飲んでいるのが観察されています。未だに何を食べているのか分からない蝶もいるわけですから、この様な蝶の食べるものを探すのもおもしろいかもしれません。もしかすると一部の蛾のように何も食べない種類もいるかもしれません。
一方、幼虫時代は植物の葉っぱ、花、実などをたべるものがほとんどで、中には枯葉を食べる変わった種類もいます。種類によって食べられる植物の種類は決まっているので、植物であれば何でも食べるというわけではありません。また、シジミチョウの仲間ではアブラムシを食べたり、アリの幼虫を食べたりする肉食の蝶が多くいます。一見可憐な蝶でも、実は獰猛であったりすることがあるわけです。
蝶の羽の粉は何?
蝶の羽に見られる粉のようなものは、鱗粉(りんぷん)と呼ばれる細かい毛が進化したものです。鱗粉は蝶の羽や体の一部を覆っていて、主に雨水などをはじく働きがあります。また、同時にフェロモンを含んだ香鱗(こうりん)という特殊な鱗粉を持つ種類もいます。鱗粉は個々に独自の色を持っていて、それが屋根瓦のように密集して並ぶことによって羽に模様が出来上がります。この模様は、蝶が同じ種類の蝶を認識するのに重要な役割を果たしています。一部の蛾の仲間では、この鱗粉に毒を持たせている種類がいますが、蝶についてはそのような鱗粉を持つ種類はいません。鱗粉のページを参照。
世界には何種類の蝶がいるの?
学者や研究家によって意見が分かれますが、現在世界に蝶は約1万2千~2万種類いるといわれています。この様に意見が分かれるには幾つかの理由があります。一つは、地域変異などある1つの種類を1種と扱うケースと地域ごとに数種類に分けてしまうケースがあげられます。また、未だに発見されていない種類がいると思われるものも種類数が確定しない要因となっています。セセリチョウの仲間を蝶と区別する人もいるわけですから、簡単な質問のようで、実は複雑なのです。
オオムラサキって天然記念物?
オオムラサキは国蝶であるが為によく天然記念物と思われます。一部の市町村ではオオムラサキは天然記念物に指定されていますが、国の天然記念物ではありません。オオムラサキを採集したいと考えている方は、採集する場所でオオムラサキが天然記念物に指定されているかどうかを確認しておきましょう。天然記念物のページを参照。
蝶と蛾はどう違うの?
蝶は一般的に、分類のページで紹介している科の仲間を表しているもので、多くの種類が昼行性で活発に飛び、羽の模様も綺麗なものが多くいます。一方、蛾は夜行性で地味なものが多いのが特徴です。蝶と蛾の詳しい区別方法は蝶と蛾の違いのページを参照して下さい。
日本の蝶はどこからきたの?
日本に生息している蝶を、世界的視野から見てみると、主に3つのタイプの蝶が生息していることが分かります。それは、すなわち旧北区の蝶、中国の蝶、そして東南アジアの蝶です。昔は日本も中国大陸と陸続きであったわけですから、これらの蝶は海を渡って飛んできたと言うよりも、海の高さが高くなって、日本という新しい島に取り残されたというほうが正しいでしょう。
蝶をなぜ一頭、二頭と数えるの?
蝶を数えるとき、正式には一匹、二匹ではなく、一頭、二頭と数えます。なぜ馬や牛のように「頭」で数えるのでしょう?これは英語での数え方、one
head, two headsから由来したものといわれています。この数え方は明治初期に海外から日本に入ってきたといわれ、動物園や標本カタログなどに利用されていた助数詞をそのまま利用したというものです。そのほかにも説があり、標本で頭部の無いものは欠陥品であるため、頭の数を数えるようになったからとか、東南アジアで大型の蝶を大型動物と同様に「頭」で数え始めたなどの説があります。