■インドからインドネシアまでの地域を東洋区と呼びます。この地域はかつて同じ大陸にいた蝶たちが海面の上昇によりそれぞれの島に取り残され、独特の種へ進化していったと考えられています。
東洋区
東洋区は北はヒマラヤ山脈により旧北区から隔離され、東のオーストラリア区とはウォレス線やウェーバー線によって、分かれています。約2900種類の蝶が生息しているといわれ、多くの蝶が熱帯雨林を中心に生息しています。植物などでは、新熱帯区にむしろ近縁の種類が見つかるといいます。この地区の代表的な蝶としては、キシタアゲハなどをはじめとするアゲハチョウの仲間やアサギシロチョウ、ムラサキシジミ、ルリマダラ、ワモンチョウやイナズマチョウの仲間などがあげられます。
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東洋区の代表的な蝶たち
意外と蝶の少ないインド
東洋区の西端に位置するインドは、350種類ほどと、土地の大きさの割には、それほど蝶の種類がいません。インドの東は海とヒマラヤ山脈にはさまれていて、東南アジアの蝶たちがあまりインドに移動してこられなかったなどの原因が考えられています。また、かつてアフリカ大陸の一部であったインドの大陸は、アフリカ大陸から離れた後、長い年月をかけてユーラシア大陸に衝突しました。長い間孤立していたために、種類が少ないのかもしれません。
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インドの蝶
スンダランド
約7万年から1万6千年前の氷河期、タイからインドネシアのジャワ島などウォレス線の西側の島々は、かつてスンダランド(Sundaland)と呼ばれる一つの大陸でした。スンダランドに生息していた蝶たちは、氷河期の終わりとともに海面が上昇し、大陸が小さな島々に分裂されていくにつれ、それぞれの島で孤立し、その場所で独自の進化を遂げました。そのため、これらの島々では、同じ種でも少しずつ模様が違っていたりするものが多くいます。
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島によって変異があるヒイロツマベニチョウ