■南アメリカでは東南アジアで見るようなマダラチョウは少なく、ここに紹介するトンボマダラの仲間が発展しています。多くの種類が透明な羽を持ち、体が細長いため「トンボ」マダラの名前があります。
トンボマダラ族は、メキシコから南アメリカ大陸にかけて生息する47属、約320種から成る新熱帯地区特有の蝶たちです。
その発展の中心はアンデス山脈の東側にあると言われています。
頭部は小さく、触角も細長く、先が棍棒状になりません。細長い腹部を持ち、多くの種は翅が透明です。オスの後翅の前縁にはヘアペンシルと呼ばれるフェロモンを放出する毛束を持ちます。
オスは森の開けた場所で翅を広げて、腹部とこのヘアペンシルを立ち上げてフェロモンを出し、メスをおびき寄せます。フェロモンにはオスも寄ってくるため、トンボマダラがいる場所にはよく沢山のオスが集まっています。このフェロモンの成分はピロリジジンアルカロイド(Pyrrolizidine Alkaloids)と呼ばれる成分が含まれており、この成分は幼虫の時に食草から摂取したり、成虫になってから花の蜜やその他植物の部分から摂取します。この成分は毒ですので、鳥などはトンボマダラを食べることを避けます。その為、沢山の蝶がトンボマダラに擬態しています。メスはこのアルカロイドを沢山持つオスとの交尾を好み、交尾の際にオスからこのアルカロイドを受け取ります。これによってメスも体内に毒を持つことが出来ます。