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ぷてろんワールド蝶の体について>生殖器のページ

生殖器のページ

■蝶の最終形態である成虫の目的は交尾をして卵を産み、子孫を残すことです。 卵が産まれるまでのしくみを見てみましょう。


オスとメスが交尾をする理由


▲交尾中のキアゲハ

蝶の最終形態である成虫は、オスはとにかくメスを探し、交尾をするのが目的です。一方メスは交尾して卵を産むのが目的です。交尾(こうび)とはオスが自分の遺伝子(いでんし)が入った精子(せいし)をメスに渡す行動のことです。精子を受け取ったメスは、自分の卵と受精(じゅせい)させることによって、遺伝子を掛け合わせます。受精がされていない卵は未受精卵(みじゅせいらん)または無精卵(むせいらん)といって、それ以上成長することはありません。卵は受精して、初めて成長が始まり、やがて幼虫となって孵化します。

このオスとメスがお互いの遺伝子をかけ合わせるのは、それぞれの今生きる環境にとって有利な遺伝子を残していけるからです。その種が様々な遺伝子を持つこと(これを多様性(たようせい)といいます)は、今後生き残っていくのに有利ですが、逆に遺伝子にあまり多様性がない時はとても危険な状況になります。例えば、ある種のすべての個体が同じ遺伝子を持っていたとします。そこである病気がはやると、下手をすると一気に病気が広がり絶滅してしまう可能性があります。一方色々な遺伝子があると、中にはこの病気に対抗できる体を持っている個体がいて、生き残ることができるかもしれないのです。この様に同じ種類でも多様な遺伝子を持つことは、変化し続ける環境に対応するのに大変重要なことなのです。動物ではチーターが遺伝子の多様性が大変乏しく、絶滅の心配がされています。

余談ですが、遺伝子がどのように子に受け継げられていくのかについてメンデルの法則というのがありますので、これも参考にしてみてください。

オスの生殖器

オスの生殖器を見る前に、各部位の名前などをゲニタリアのしくみで理解してください。

腹部の第5節あたりにまず、精子を作る2つの睾丸(こうがん)があり、そこからそれぞれ管が伸びています。管の途中にはもう一つ分泌物を出す管が繋がっていて、そして二つの管は一つの管にまとまります。その先はエデアグス(交尾棍(こうびこん)、もしくはペニスとも言います)という固い管につながっています。

交尾の時、オスはメスの腹部先端にウンクスやスーパーウンクスを差し込み、そしてバルバで挟んで結合、固定します。オスのゲニタリアの構造はカギのようなもので、同じ種類(もしくは近縁種)としか結合できません。これは他の種類と間違えて交尾する事を防いでいます。

結合した後、オスはエデアグスを伸ばしてメスの交尾口に挿入し、精子の入った袋、精包(せいほう)をメスの交尾嚢(こうびのう)という袋に送り込みます。そして最後に固い物質でメスの交尾口に栓をします。こうすることによって、他のオスが同じメスと交尾をするのを防ぎます。蝶のメスは、種類によりますが、複数のオスと交尾することが知られています。この時新しく交尾したオスの精子の方が受精に使われる可能性が高くなります。この為オスはいかにメスが他のオスと交尾しないようにするか、工夫をしているわけです。新しいオスとの交尾を阻止するためにオスは、大きな精包を送り込んで交尾嚢を一杯にしたり、交尾口に栓をしたり、大きな貞操帯(ていそうたい)を作ったり、交尾の時間を長くしたりします。

それに対抗するオスもいて、ジャコウアゲハなどは交尾直後のメスを遅い、まだ交尾栓が固まらず柔らかいうちにエデアグスを挿入して精包を送り込んだりするものもいます。


▲大きな貞操帯(白い物体)を付けたオオアメリカウスバのメス。

メスの生殖器

メスの生殖器の構造はちょっと複雑です。

交尾

 


参考文献
小原嘉明 2003. モンシロチョウ キャベツ畑の動物行動学. 東京.中公新書.
Scott, James A.. 1986. The Butterflies of North America, a natural history and field guide. Stanford; Stanford University Press.本の情報のページへ

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