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汚れた蝶をきれいにする

■ここではフンなどで汚れた蝶をきれいにする方法を説明します。蝶の種類や汚れ方によってはうまくいかない場合もありますので注意してください。ここで紹介するのはあくまでも一例です。


ある時、ウスイロフタオチョウのメスが売りに出されているのを見つけました。標本はフンで翅が汚れてしまっている状態で、処分価格で売られていました。これは、洗浄してきれいにする価値がありそうです。


売りに出されていた時の状態。フンが前翅にもついている状態です。

 
到着時の状態。後翅腹部のところに汚れが見えます。まずはこれを軟化します。

 
柔らかくなってから中を見てみると、結構汚れています。これ以上汚れが広がらないように、腹部は折ってしまい、酢酸エチルにつけて油抜きをしておきます。

 
水分で柔らかくなったフンの塊を水で洗い流し、その後ティッシュで水分を吸い取っておきます。

 
食器用洗剤を水で薄めて、筆で汚れている個所をそっとなでるようにきれいにしていきます。強くこすると鱗粉が剥げてしまいます。また、フタオチョウの鱗粉はしっかり翅についているので扱いやすいのですが、シロチョウなどは鱗粉が剥げやすく、この方法で洗うのは難しいかもしれません。なお、鱗粉は標本を一度乾燥させたほうが取れにくくなります。

 
その後、酢酸エチルにつけて、さらに油分を取り除きます。この時、蝶を頭の方から酢酸エチルに入れるようにします。翅の基部から酢酸エチルが染み始めると、細かい汚れが酢酸エチルの染みる流れと共に翅の外側に押し出されていくからです。半日くらい漬けた後、標本を取り出して酢酸エチルを飛ばします。この時、うっかり標本を落として左の尾を折ってしまいましたので、後で修正します。酢酸エチルが抜けたら、再度軟化処理をします。

 
軟化が終わって中を見てみると、汚れがほとんど落ちていることが確認できました。その後は普通に展翅します。

 
乾燥し終わったら、腹部を木工用ボンドで付けます。折れてしまった尾は、翅を両方展翅版の上で固定してから、まち針の先につけた木工用ボンドでつなぎます。


完成しました。

 
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