蝶の天敵
■蝶も弱肉強食の世界で、様々な動物などに狙われて生きています。ここでは蝶の天敵について解説します。
蝶の一生のページで解説しましたように、蝶の卵が成虫になる確率は、100個のうち1か2個です。これだけ数が減る原因は主に天敵(てんてき)があります。蝶の天敵とは、蝶たちを捕食する動物たちのことです。蝶には色々な天敵がいます。蝶の飼育をしていると、時々蝶ではなく、ハエやハチが蛹から出てきます。せっかく育てた蝶が死んでしまい、とても憎たらしい存在ですが、彼らも自然のバランスには欠かせない、大切な存在なのです。
例えば、すべての卵が成虫になったらどうなるでしょうか?モンシロチョウを例に考えてみましょう。
東京周辺のモンシロチョウは年6~7回発生します。春に100個の卵を産んだモンシロチョウがいるとします。すべての蝶が成虫になるという計算をして見ますと、次の通りになります。
世代 |
個体数 |
メスの数(半分) |
産まれる卵の数(一頭百個) |
第一化 |
1 |
1 |
100 |
第二化 |
100 |
50 |
5000 |
第三化 |
5,000 |
2,500 |
250,000 |
第四化 |
250,000 |
125,000 |
12,500,000 |
第五化 |
12,500,000 |
6,250,000 |
625,000,000 |
第六化 |
625,000,000 |
312,500,000 |
31,250,000,000 |
第七化 |
31,250,000,000 |
15,625,000,000 |
1,562,500,000,000 |
つまり、春現れた1頭のモンシロチョウのメスが、秋の終わりには312億5千万頭(!)になる計算になります。しかもこれらの蝶が産み残す卵は1兆個を超えます。当然これが実際に起きるとなると、食草が食べつくされ、町中がモンシロチョウだらけになってしまいます。もちろんその前に食草が食べつくされてしまえば、幼虫たちは何も食べるものがなくなり餓死し、結局絶滅することになります。実際の自然界では、上の状況で第七化まで残るのは0~2頭ほどでしょう。この蝶の大発生を防ぐ役に、天敵たちがいるわけです。
蝶の死因は天敵だけではありません。雨粒や病気なども死因のひとつです。
蝶には次のような天敵がいます。
◇寄生蜂
▲アゲハチョウの産卵を見守っていた寄生蜂の一種
◇寄生蝿
◇アリ
◇カメムシ
◇ダニ
◇クモ
◇カンタン・ツユムシ
◇カマキリ
◇トンボ
◇トカゲ