サイト内検索 powered by Google
ナビゲーションバー
ぷてろんワールド>蝶の一生

蝶の一生

■このページでは、蝶が卵から成虫までに成長する過程を詳しく説明します。


蝶は完全変態(かんぜんへんたい)をする昆虫の仲間です。完全変態とは、一生を卵、幼虫、蛹、成虫と成長とともに体の仕組みや形を変えていく事です。このように体の仕組みや形を変えることを変態(へんたい)といいます。

蝶の一生

蝶の一生は大まかに分けると、卵(たまご)幼虫(ようちゅう)蛹(さなぎ)成虫(せいちゅう)の4ステージあります。これはよく教科書などで見られる説明ですが、実際にはもう少し細かく分けてみる事が出来ます。

このステージを更に細かく見てみると、次に様になります。



1齢幼虫

2齢幼虫

3齢幼虫

4齢幼虫

5齢幼虫



成虫

卵から孵化(ふか)した1齢幼虫は、卵の殻を食べてから(孵化のページ参照)、餌となる植物を食べ始めます。体が大きくなった幼虫は脱皮(だっぴ)幼虫の脱皮のページ参照)をして、2齢幼虫になり、また植物を食べて大きくなった幼虫は脱皮をし、このパターンをくりかえして、3齢幼虫、4齢幼虫、と大きくなっていきます。齢数は蝶の種類によって異なりますが、少なくて4齢(シジミチョウなど)、多くて12齢(セセリチョウの一部など)まであります。幼虫が最後の食事を終えると、蛹になる準備に入ります。

糸で台座を作り、背中には帯糸(たいし)という紐みたいなものをかけて、じっとします。これを前蛹(ぜんよう)といいます。しばらくするとまた脱皮をして今度は蛹になります。やがて蛹から成虫が出てきます。これを羽化(うか)といいます。

成長のスピード

卵から成虫になるスピードは、種類や環境によってまちまちです。成長スピードの速い例と遅い例を見てみましょう。

成長の早い例:夏のヤマトシジミ

ステージ  日数 
4日
幼虫 16日
8日
合計 28日

夏のヤマトシジミの成長が早い理由にはいくつかの要素があります。

・体が小さい。
・成長している時、気温が高い。

成長の遅い例:北海道の大雪山にいるウスバキチョウ

ステージ  日数 
約11ヶ月
幼虫 約3ヶ月
約10ヶ月
合計 約24ヶ月

大雪山のウスバキチョウの成長が遅い理由は:

・体が大きい(アゲハチョウに比べると小さいですが)。
・夏が短く、厳しい環境の中越冬をしなければならない。

食草にあわせる例:ミドリシジミ

ミドリシジミはハンノキなどの新芽を幼虫が食べるため、幼虫でいられる期間が限定されています。

ステージ  日数 
約8ヶ月
幼虫 42〜50日
約20日
合計 約10ヶ月

ミドリシジミの場合、夏に羽化した成虫が8月ごろに休眠芽の基部などに産み付けられ、卵のまま次の年の春にそれが芽吹くまで待ちます。実際には(ウスバキチョウもそうなのですが)卵の中で幼虫になってから越冬し、翌春卵の殻を割って出てくるのです。こうしてみると、蝶も生き残るための知恵(?)を絞って、自らを取り巻く環境に適応していることが分かります。

環境に合わせる例:サバクツマキチョウ

北アメリカに分布するサバクツマキチョウ(Anthocharis cethura)は主に半砂漠のような環境に生息しています。蝶が食べる食草はその年の春の雨の量によって芽を出したり出さなかったりします。蝶が生き延びる為には、蝶が羽化した時にその食草が生えている事が重要です。もし春になって、雨が降らず、食草が芽を出していなかったら、蝶は羽化しても卵を産むことができず死んでしまいます。雨が降らず、食草が芽を出さない時は蝶も食草と一緒に休眠を延長しなければなりません。

ステージ  日数 
数日
幼虫 14〜21日
天候次第
合計 天候次第(最長記録11年)

サバクツマキチョウの飼育で、休眠最長記録は11年間です。つまり、蛹になってから11年後に蝶が羽化したということです。蛹の間蝶は食事をすることも排泄することもしないわけですから、これは驚異的な生存能力です。この様に砂漠に生息する蝶は数年間休眠することができる種類がいくつかいます。

日本のツマキチョウなどもこの様に数年休眠することが観察されています。

世代を繰り返す

アゲハチョウは春から秋にかけて3〜4回世代を繰り返します。

「世代を繰り返す」と言うのはどういう意味でしょうか?例えば、春から秋にかけて、次のようなことが起こります。4月ごろ、越冬したアゲハチョウの蛹から成虫が出てきます。アゲハチョウは相手を見つけ、交尾し、メスは卵を産みます。卵から孵化した幼虫は気温も暖かくなると、成長のスピードが速くなり、蛹になり、初夏のころには成虫になります。この成虫もまた卵を産み、こんどは夏の終わりのころに成虫になり、また卵を産み、それが秋に成虫になります。この成虫が産んだ卵は蛹まで成長し、そこで止まり越冬をします。

さて、こうなると、アゲハチョウは春から秋にかけて4回成虫が出てきたことになり、これを「4回世代を繰り返した」または、「4回発生した」と言います。最初に出てきた成虫を第一化(だいいっか)と呼び、その後に出た成虫を第二化、第三化・・・というふうに呼びます。この「化(か)」を利用して、アゲハチョウは年4化性(ねんよんかせい)ともいいます。ただし実際には、北にいるアゲハチョウは気温も低く、夏も短いため発生回数が少なく、逆に暖かくて夏が長い南では発生回数が増えるので、年4化性と決め付けることは出来ません。

ミドリシジミは年1化性で、成虫はどこでも年1回しか見られません。一方ヤマトシジミは暖かい地域では6〜8回世代を繰り返している上に、前後の世代が混じっていることもあり、正確にわからないこともあります。

生存率(せいぞんりつ)

蝶の各ステージで、蝶がどれくらい生き残ったかを調べた人がいます。ここで紹介している数字はナミアゲハがどのように生き残っていったかをまとめたものです。数字は伐採跡地(ばっさいあとち)にあるカラスザンショウ100本あたりにナミアゲハの第一世代がどれほど生き残っているかを、渡辺さんという人が6年間調べて平均したものです。

卵(たまご)




(95.3個)

【主な天敵】

寄生蜂(アゲハタマゴバチ)、ダニ類、クモ類、カメムシ類、アリ類、カンタン、ツユムシなど

初令幼虫、1令幼虫

(47.2頭)

【主な天敵】
クモ類、カメムシ類、アリ類など

2令幼虫
(17.0頭)

【主な天敵】
クモ類、カメムシ類、アリ類など

3令幼虫
(8.4頭)

【主な天敵】
クモ類、アシナガバチ、病気など

4令幼虫
(2.6頭)

【主な天敵】
アシナガバチ、病気、鳥など

終令幼虫、5令幼虫
(1.8頭)

【主な天敵】
アシナガバチ、鳥など

蛹(さなぎ)

(1.6頭)

【主な天敵】
寄生蜂(アゲハヒメバチ)など。羽化失敗もある。

成虫(せいちゅう)

(0.6頭)

成虫の寿命

寿命が尽きる蝶
▲翅がボロボロになり、寿命もつきそうなヒカゲチョウ

蝶が長生きをするという話はあまり聞きませんが、実際にはどうなのでしょう?

蝶の成虫の寿命は、種類によってまちまちです。マーキング調査によると、蝶の寿命はオスで7日間、メスで9日間という結果が出ています。しかし、これはあくまでも平均の話で、種類によって寿命は違います。特に成虫で越冬する種類や熱帯に生息する蝶は、他の種と比べると寿命が長いものです。成虫で越冬する蝶の仲間は7ヶ月から一年間生き延びるといわれています。南米のドクチョウは6ヶ月ほどの寿命があり、ヒョウモンチョウの仲間も2〜3ヶ月生き延びると言われています。

となると、やはり寿命は短いと考えてしまいますが、その前にもう一度考え直して見ましょう。蝶の寿命を成虫になってから数えるではなく、正確には蝶が卵として産みつけられてから数える方が正しいでしょう。となると、「成長のスピード」で見られるように、蝶の種類によっては数年間も生き延びる種類がいると考えることもできます。


▲道に落ちていたアゲハチョウの死骸

サイトマップ | 使い方 | お問合せ
Copyright 1996-2017 Kojiro Shiraiwa. All Rights Reserved.