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蝶の体について

蝶の体はどの様なしくみになっているのでしょう。蝶は昆虫の仲間ですから、昆虫類の特徴はどの種類についても、共通しています。ここでは、蝶の体について説明します。


クロアゲハ

昆虫類と共通している点

蝶は昆虫の仲間ですから、他の昆虫類と共通する特徴がいくつかあります。カブトムシ、クワガタ、セミ、バッタ、アリ、ハチなどなど、みんな下にあるような特徴を全て持っています。逆に言えば、昆虫ではないカニ、エビ、ムカデやクモなどにはいくつか共通する点があっても、全てが共通している訳ではありません。

  1. 外骨格がいこっかくである。
  2. 体は、頭・胸・腹の三つの部分に分かれている。
  3. 頭には、1対の触角しょっかくと、1対の複眼ふくがんをもっている。
  4. 胸には、2対の翅と3対の脚がある。
  5. 変態(へんたい)をする。

蝶の仲間で共通している点

蝶は、昆虫の中で「鱗翅目(りんしもく)」という仲間に分類されます。つまり同じ昆虫の仲間でも、カブトムシ、コガネムシ、クワガタムシ、オサムシなどは「鞘翅類(しょうしもく)」という翅が硬い仲間、すなわち甲虫(こうちゅう)に分類されますし、トノサマバッタ、イナゴ、ナナフシ、スズムシなどは「直翅目(ちょくしもく)」の仲間に入れられます。蝶が分類されている鱗翅目の中には、蛾(が)も仲間に入ります。蝶と蛾の体の特徴をあげると、以下のような点があります。 

1. 翅は鱗粉(りんぷん)と呼ばれる、鱗(うろこ)状のもので覆われている。(鱗粉のページ

2. 口は、花の蜜などを吸うときに適している、ストロー状。(成虫の体:頭部2

3. 完全変態(かんぜんへんたい)をする。

鱗翅目(蝶と蛾)の仲間は、世界に10万~15万種類ほどいると言われていて、「蝶」と呼ばれる仲間は1万8千~2万種類いるといわれています。

蝶の大きさ

蝶は、ほ乳類などと比べると、非常に小さな生物です。それは、外骨格の体を持った昆虫達の限界でもあるのです。外骨格は、体が大きくなり重くなると、体を支えきれなくなる欠点がありますが、一方で体全体が固い殻に守られるなど、色々な長所もあります。みなさんが普段目にする「大きな昆虫」にはカブトムシや、アゲハチョウなどといった種類がいます。これらの昆虫は、世界的に見ても大きい昆虫です。

世界でもその大きさで有名な昆虫は、南米のヘラクレスオオカブトムシ(最大全長17センチ)やアフリカのゴライアスオオツノハナムグリ、トビナナフシ(全長30センチ)、蛾の仲間では日本の与那国島に生息するヨナグニサンなどがあります。

「大きい」とはいえ、いずれの種類もゾウなどの大型動物にはとてもかなわない大きさです。恐竜が栄えていた時代にはメガニュウラというトンボの祖先が開長70センチにも達していたことが知られていますが、今ではこの様な「メガ」サイズの昆虫は存在しません。

さて、蝶はどのくらいの大きさになるのでしょうか?

世界で最も大きい蝶

まず、「大きさ」の定義についてですが、蝶の翅の大きさの測り方には二つの方法があります。開帳(かいちょう)前翅長(ぜんしちょう)です。蝶の大きさの文献を探すと、多くのものが開帳を使っています。「開帳」は測り方によって数字が変わる問題があるのですが(開帳と前翅長について参照)、大きな蝶を測るときは、よく使われています。これは蝶の大きさを想像しやすいからでしょう。大きな蝶を測るときに使う開帳は、翅を上げた状態の標本の蝶の大きさではなくて、蝶の翅を出来るだけ大きく広げて、一番大きくなる状態で測っている事が多いようです。すなわち、「前翅長×2枚+胸部の幅」が最も大きくなる大きさになります。

ギネスブックで、世界最大の蝶はアレキサンドラトリバネアゲハのメス(開帳 28cm)とされています。トリバネアゲハの胸部の幅は大体10-12mmですから、これから考えると前翅長は280mm-10mm/2=135mmとなります。今のところ私が確認できた最大のアレキサンドラトリバネアゲハのメスの前翅長は127mmです。これはおよそ開帳26cmで、28cmより一回り小さいです。はたして本当に28cmのアレキサンドラトリバネアゲハがいるのか、大変興味あります。

一方、蝶を研究している人たちの中では、ゴライアストリバネアゲハ(インドネシア共和国のセラム島亜種)のメスも世界最大の蝶とされています。ゴライアストリバネアゲハのメスは安定的に大きな個体が見られ、標本を比較すると、アレキサンドラトリバネアゲハより大きいものが多いようです(下写真参照)。また、アレキサンドラトリバネアゲハの翅は細長いため、面積ではゴライアストリバネアゲハより小さく見えます。存在する標本を見ると、ゴライアストリバネアゲハの方がアレキサンドラトリバネアゲハより大きい個体が多い、ということでゴライアストリバネアゲハも世界最大の蝶として知られています。

ゴライアストリバネアゲハとアレキサンドラトリバネアゲハ
▲ゴライアストリバネアゲハのメス(左)とアレキサンドラトリバネアゲハのメス(右)を並べたところ。

世界の各地域の大きい蝶を見ると下の写真の様になります。


▲(左上から)世界・アジア最大級のゴライアストリバネアゲハ♀、南米大陸最大級のアオタイヨウモルフォ、アフリカ大陸最大のドルリーオオアゲハ、日本最大級のモンキアゲハ、大きさ比較対象用のヒメアカタテハ、北米最大級のフタオトラフアゲハ

ところで、蝶以外を含めた、鱗翅類(りんしるい)全体を見た場合、どれくらい大きい種類がいるのでしょうか。現在世界最大の鱗翅目とされているのは、南米に生息する、ヤガ科のナンベイオオヤガThysania agrippinaです。ナンベイオオヤガで見られる多くの標本は開帳25cm程度ですが、大きい個体になると、開帳30cm以上もあります。2015年11月現在インターネットで見つけられる一番大きなナンベイオオヤガの標本は、前翅を上げた状態(下写真の様な形)で開帳298mmあります。この標本の前翅をもっと下げて、出来るだけ横に長くなるように水平に広げると、31.5cmに達する計算になります。これより大きい種類はおそらくいないと思います。


▲(上)ペルー産ナンベイオオヤガ(開帳25cmの個体) (下)日本産ヒメアカタテハを並べた写真

一方、ヨナグニサンAttacus atlasも世界最大とされます。これはゴライアストリバネアゲハとアレキサンドラトリバネアゲハの話と似ていて、開帳では負けるけど、面積は世界一というものです。まず、世界最大のヨナグニサンの大きさですが、今のところインドネシア産のメスで、276mm(翅を水平に広げた状態で)の標本が写真で確認できる一番大きい個体です。この標本をナンベイオオヤガの標本と並べると、ナンベイオオヤガの後翅はヨナグニサンの半分ほどの大きさなので(前翅はほぼ同じ大きさ)、面積ではヨナグニサンが勝るということになります。ちなみに日本で見られるヨナグニサンはryukyuensisという亜種で、日本最大の蛾ですが、熱帯アジアに生息するヨナグニサンの他亜種と比べると小さいです。


▲(左)ペルー産ナンベイオオヤガと(右)ベトナム産ヨナグニサンを並べた写真


▲ナンベイオオヤガ(上)とゴライアストリバネアゲハ(下)を並べたところ

日本で最も大きい蝶

日本でもっとも大きい蝶は、意外にも南ではなく、千葉県など生息の北限に当たる地域にいるモンキアゲハのメス(夏型)といわれています。これは、気温が低いため、ゆっくりと成長できるからと考えられています。また、沖縄に生息するオオゴマダラも日本最大とされています。

Monki Ageha
▲モンキアゲハの夏型

世界で最も小さい蝶

世界で最も小さいと紹介される蝶ではチリ・ボリビアに生息するチチカカヒメシジミItylos titicaca)が有名です。その他では北アメリカから中央アメリカに分布する、コビトシジミBrephidium exile)も世界で小さい蝶に入ります。

種類も少ない大きなトリバネアゲハ類と比べると、小さい蝶の種類は多く、また、一頭一頭の蝶の大きさにも違いがあるため、どの種が世界最小と断定するのは難しいです。たとえば、最も小さな個体が記録されているのは開帳6mmのコビトシジミですが、コビトシジミの平均的大きさは開帳8.5mmです。これに比べてアフガニスタンに生息するミクロシジミMicropsyche ariana)は最も小さいコビトシジミの個体には小ささで負けますが、平均的大きさは開帳7mmと勝っています。

これらの蝶のほかにも、マダガスカルのChilades minisculaというシジミチョウも「世界最小」と呼ばれたりしています。

チチカカヒメシジミ 
▲チチカカヒメシジミとコビトシジミ

最小の蝶比較
▲コビトシジミとチチカカヒメシジミ(裏)を比較したところ。

ゴライアストリバネアゲハとコビトシジミ
▲最大の蝶と最小の蝶を並べてみました。

日本で最も小さい蝶

日本で最も小さい蝶の種類とされているのは、沖縄などに生息するホリイコシジミです。

ホリイコシジミ
▲ホリイコシジミ(沖縄県)

蝶の体の中

蝶の体の中はどうなっているのでしょう?いくつかのカテゴリに分けて見てみましょう。

体液と心臓
呼吸について

食べ物の消化

生殖器ぬついて

蝶の体の構造

では、蝶の体を更に詳しく見ていきましょう。
その前に、「蝶」は普段私たちが見ている、ひらひらと飛んでいる昆虫と思うのが一般的ですが、本当は、卵も、イモムシである幼虫も「蝶」なのです。蝶は卵から幼虫、蛹、成虫へと姿を変えていく完全変態(かんぜんへんたい)をする昆虫です。それぞれの成長過程での姿はそれぞれ全く異なった形をしています。ここでは、それぞれのステージでの蝶の体について説明します。

Egg
【卵】

Larva

【幼虫】

【蛹】

Adult

【成虫】


参考文献
Kons Jr., Hugo, 1998. Chapter 32: Largest Lepidopteran Wing Span. Book of Insect Records.University of Florida. (http://www.entnemdept.ufl.edu/walker/ufbir/chapters/chapter_32.shtml) Accessed August 14, 2015.
Matton, R.H.T., 1979. The Scolitantidini II. The world's smallest butterfly? Notes on Turanana, and a new genus and species from Afganistan (Lycaenidae). Journal of Research on the Lepidoptera 18(4):256-264

 

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