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成虫の体:胸部

■蝶の頭部が情報を集めるコントロールタワーであれば、胸部は筋肉で詰まったエンジンでしょう。胸部は3つの部分に分けてみることができます。


胸部(きょうぶ)前胸(ぜんきょう)中胸(ちゅうきょう)後胸(こうきょう)と主に3つの部分に分かれています。それぞれの「節(せつ)」には、それぞれ一対の脚や翅がついています。それぞれを見てみると、以下のようになっています。

前胸
前脚(ぜんきゃく・まえあし)がついています。
中胸
腹側に中脚(ちゅうきゃく・なかあし)、背側に前翅(ぜんし・まえばね)があります。
後胸
腹側に後脚(こうきゃく・うしろあし)、背側に後翅(こうし・うしろばね)があります。

移動とコミュニケーションの道具:翅(はね)

胸部で一番目立つのは、なんと言っても翅です。翅は飛んだり、メスに求愛するディスプレイに使用したり、蝶にとって大切な体の一部です。蝶の翅の構造について、詳しく見てみましょう。 →成虫の体:翅

音を聞くために使う翅

翅には飛ぶ以外にも、音を聞くという機能を持っているとされています。蝶によって聞こえ方はまちまちのようですが、翅の脈(特に前翅)を利用して音を聞き取っているようです。多くのジャノメチョウの仲間は翅の基部(きぶ)が膨らんでおり、これが音を聞くのに役立っているのではという説があります。また、南米に生息するカスリタテハやドクチョウの仲間は、翅の基部に神経につながっている薄い膜でカバーされた空洞があり、ここで音を聞くことができることが確認されています。
ドクチョウの仲間は後翅の基部(Sc+R1とCuの間)にひとつ、前翅の基部にも小さな「耳」があります。カスリタテハは前翅の基部に2箇所(CとScの間とRとCuの間)にあり、蝶にしては大きな「耳」を持っています。(脈の場所については羽の各部名称参照。)


▲カスリタテハの一種(Hamadryas guatemalena)の耳(CとScの間)。
もうひとつの耳は後翅に隠れて見えません。退化した前足も見えます。

休息・清掃・情報収集

脚の基本的構造

脚の詳しい構造を見る前に、基本的な構造を見てみましょう。下の図は概念図です。実際の形などは蝶の種類によってまちまちです。

脚は根元から基節(きせつ)転節(てんせつ)腿節(たいせつ)脛節(けいせつ)ふ節(ふせつ:「ふ」の漢字は足へんに「付」)という節に分かれています。基節はほとんど胸部の一部となっていて、あまり動かすことは出来ません。転節はちょうど胸部の下あたりにあり、脚を色々な方向に向けさせることが出来ます。私達の足のつけ根のような感じです。腿節は私達の太ももにあたる部分で、脛節はスネにあたります。ふ節は種類によって1節から5節に分かれていて、脛節にくっついているほうから、第1ふ節、第2ふ節というふうに呼びます。そして、最後の節の先には爪(つめ)が1対あり、蝶の種類によってその内側に爪間盤(そうかんばん=アロリウム:Alorium)が、外側には褥盤(じょくばん=プルビリ:Pulvilli)があります。


▲蝶は体中が毛で覆われているので、基節が大変見にくいです。
一方上のタマムシのような甲虫の基節は見やすくなっています。

では、実際に色々な蝶の脚を見てみましょう。下の写真は蝶の脚を取ったものですが、転節で切れているので、腿節、脛節、ふ節のみが写っています。


▲アカメガネトリバネアゲハの前脚、中脚、後脚

非常にしっかりした脚で、長さはそれぞれ同じくらいです。
ふ節は5節からできていて、第1ふ節が他のふ節と比べて長くなっています。
前脚に特殊な部分があります(前脚についての説明参照)。


▲モンシロチョウのオスの前脚、中脚、後脚

▲モンシロチョウのメスの前脚、中脚、後脚

モンシロチョウはオスもメスも同じような脚を持っています。
モンシロチョウは全ての脚を使って、歩いたり、物につかまったりすることが出来ます。


アメリカタテハモドキのオスの前脚、中脚、後脚

タテハチョウの脚は前脚が小さくなっています。前脚のふ節は1節だけです。
前脚は歩いたり物につかまったりすることは出来ません。


▲アメリカタテハモドキのメスの前脚、中脚、後脚

タテハチョウのメスの前脚はオスと同じように歩くことなどには使えませんが、
オスの前脚と違い、先に小さな爪みたいなものがあります。
この特徴は上のカスリタテハ(メス)の写真でも見ることが出来ます。
モンシロチョウとは大分違いますね。


▲左:アカメガネトリバネアゲハの爪。右:フクロウチョウの爪。
アゲハチョウの仲間は爪が鋭く、褥盤やアロリウムが小さくてほとんどありません。

前脚(ぜんきゃく・まえあし)

蝶の前脚は種類によって特徴があります。例えば大きな特徴として:

 <アゲハチョウ科・シロチョウ科・シジミチョウ科・セセリチョウ科>

前脚が発達していて、歩く機能を持っています。アゲハチョウなどは、前脚に味覚があり、メスは食草を前脚で触って確かめたりする行動が見られます。

アゲハチョウとセセリチョウの仲間は前脚の脛節に葉状片(ようじょうへん)という突起がついています。この葉状片は触角を掃除する時に利用されるものと思われています。


▲ドルーリーオオアゲハの前脚にある葉状片。
蝶の中では大きな葉状片を持つ種。

 <タテハチョウ科・シジミタテハ科>

前脚が萎縮(いしゅく)していて、歩く機能を果たしません。写真などで見ると4本しか脚がないように見えます。一般的にオスはふ節が1節だけで、毛が生えています。メスは同じように前脚は萎縮していますが、複数のふ節からなり、各節から爪のようなとげが出ています。
 


▲タテハチョウの仲間のオスは、上の図のように、ふ節が一つになってしまっています。


▲キベリタテハ。前脚を体にぴったりとくっつけていて、 前脚が無い様に見えます。

中脚・後脚(ちゅうきゃく(なかあし)・こうきゃく(うしろあし))

中脚と後脚は、主に体を支えたり、枝などにぶら下がったりする時に使われます。また、味も分かるようで、脚に砂糖水などをつけると口吻をのばして砂糖水を吸ったりします。


参考文献
Scott, James A.. 1986. The Butterflies of North America, a natural history and field guide. Stanford; Stanford University Press.本の情報のページへ

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