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成虫の体:翅

■蝶の最大の特徴である、翅(はね)について解説します。


移動とコミュニケーションの道具:翅

蝶の最大の特徴である翅(はね)は、これから解説するように色々な用途に使われています。蝶の翅は種類によって、色々な形の翅があります。 →色々な翅の形

体温との関係

そもそも、昆虫に翅が生えてきたのは体温を調整するために、体の一部が伸びてきたのが始まりといわれています。蝶の翅と体温の関係について考えてみましょう。→翅と体温の関係

飛ぶ

蝶は翅を羽ばたくことによって空中を飛ぶことができます。蝶の飛ぶスピードは種類によって変わりますが、オオモンシロチョウの飛ぶ速度を測定したところ、時速19.2キロという結果が出たことがあります。蝶は体の大きさが小さいので、実際にはもっと早く飛んでいるように見えます。蝶の飛ぶスピードについては →蝶の飛ぶ速さのページ

蝶の飛び方は種類によってまちまちです。パターンとしてみられるのは次の通りです。

  • ばたばた型・・・モンシロチョウのように、ばたばたと飛ぶパターン。
  • 滑空型・・・まっすぐしっかりと飛び、時々羽ばたきをやめて滑空する。渡りをするオオカバマダラは翅を殆どはばたかずに、鳥のように風に乗って飛んでいくことができます。タテハチョウの多くがこの飛び方をします。
  • ふわふわ型・・・ジャノメチョウの仲間に見られる飛び方で、ふわっふわっと「U」の字を描くように上下揺れながら飛びます。
  • 弾丸型・・・セセリチョウの飛び方に見られるもので、羽ばたきはハチのように早く、ホバリング(空中に静止する状態)も可能です。

【飛ぶ仕組み】

蝶の翅と同じものを紙で切って羽ばたいても、飛ぶことができません。蝶が空を飛ぶのは、一目では分かりにくい仕組みが隠されています。

1.一体となった前翅と後翅
蝶が翅を羽ばたくとき、前翅と後翅は一体となって、まるで1枚の翅のように動きます。蝶の翅は後翅基部の前縁が前方に張り出していて、翅が一緒に動く構造になっています。

2.揚力(ようりょく)を生む翅の形
翅には翅脈(しみゃく)という筋が沢山あります。翅脈については後に説明しますが、この翅脈が前翅の前縁に集まり、翅の前縁を太くしています。翅の断面図を見ると、それは飛行機の翼と同じ様な形をしています。

3.羽ばたきにねじり
蝶は単純に翅を上下に羽ばたかせているのではありません。蝶の羽ばたきをスローモーションで見てみると、まず前翅がうち下ろされ、それを後翅が追いかけるようにうち下ろされます(この時二つの翅は、別々に動くのではなく、一体の様に動きます)。この時に体を浮かす揚力と、前進する力が産まれます。
前翅もよく見てみると、スジが沢山通っていることが分かります。このスジは前方に集中していることが分かります。前翅の後ろのほうにあるスジは、互いに離れていて、よく見ると、体からつながっているように見えるスジから、枝分かれしています。
このしくみは、実は蝶が翅を打ち下ろすとき、筋肉に直結している前のほうにあるスジに力が入り、直結していない後ろのスジには力が弱くなる構造になっています。このしくみにより、蝶は翅を打ち下ろすだけで、ねじりが発生するわけです。

身分証明書

蝶の翅は鱗粉が並んで、色々な模様や色で飾られています。蝶の翅の形や色は、種類によってそれぞれ違い、特に種を特定するのに重要な役割を持っています。縄張りを持った蝶のオスは、他の種類や同種のオスが入ってくれば、追い出そうとしますし、メスが来れば交尾しようと求愛行動に出ます。相手が誰かを知るのにオスは翅の模様をまず認識します。

メスの翅の模様に似せた紙などを利用すると、オスが寄ってきたりすることがあります。キャベツ畑で4センチ四方くらいの白い紙を置いておくと、モンシロチョウのオスがやってきたり、山で車のオレンジ色の方向指示機にヒョウモンチョウの仲間が寄ってきたりするのはこの為です。

ラブレター

うまくメスを着地させたオスは、メスに求愛行動をします。この場合、大抵オスがメスに自分の翅を見せて刺激します。翅にある発香鱗(はっこうりん)という香りを放つ鱗粉を使ったり、腹部からヘアペンシルというフェロモンを放つ毛束を使う種類もいますが、多くの種類の場合、メスの前で翅を広げてアピールすることが多いようです。この様に蝶の翅の模様はラブレターともなるのです。


▲メス(左)の前で、翅を広げたりふるわせたりするアメリカニシシロチョウのオス(右)。
多くの蝶がこの様な求愛行動をする。

翅の構造

・翅脈(しみゃく)

蝶を採集してよく見てみると、翅に数本の筋があることに気づきます。この筋を翅脈(しみゃく)と呼びます。翅脈は蝶の翅を支える役割、蛹から羽化する時体液を脈の中に流して翅を伸ばす役割、日光浴中翅で吸収した熱を体に伝える役割など蝶にとっても非常に重要なものです。翅脈が折れてしまった蝶は、まともに飛ぶことができず、アッという間に天敵に食べられてしまいます。
翅脈は翅の模様にも深く関係しており、また、各翅脈に名称が付けられています。(翅の各部名称のページ参照)

鱗粉(りんぷん)

翅全体を覆っている鱗粉は、体毛が進化したものと考えられています。鱗粉一つひとつは大変小さく、肉眼では粉にしか見えませんが、拡大してみると、花びらのような形をしていたり、色々な形のものを見ることが出来ます。詳しくは鱗粉のページを参照して下さい。


参考文献
Scott, James A.. 1986. The Butterflies of North America, a natural history and field guide. Stanford; Stanford University Press.本の情報のページへ

 

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