ついに届いたのだ!


1匹ずつ梱包された、チリクワ。

梱包されたチリクワを1つずつ見ていく。

最初の1匹は、どうやら力つきているようだ。

焦る気持ちを抑えながら、次々と確認していく。

・・・次の袋も駄目だ。

かなり厚めのビニールに包まれたチリクワ達は、ホチキスで厳重にとめられていて、この過剰包装が原因で死んでしまったのではないか。

「やはり、チリは遠いな。」

ふと、メスの袋を見ていると、触角が動いた。

最初は、偶然に柔らかい死体が動いたのかと思った。

ところが、見ているうちに大顎も動き始めたのだ!

生きてるぞ!

袋をはさみであけると、元気よくメスがもがき始めた。「おぉ!」思わず喜びの声を上げてしまった。隣で妻が冷ややかな目で見ている。「すごいだろ!」

更に驚いたことが起こった。

チリクワがシャコシャコと鳴き始めたのだ!「なんだなんだ?!」クワガタが鳴くなんて聞いたことがないぞ。どこで鳴いているのか、観察してみる。ヒメカブトのように、後翅かなにかをこすっているのであろうか。それともカミキリの様にヤスリ状の首でも持っているのであろうか。見ていると、後脚を盛んに動かしているのに気が付いた。こいつは、ノコギリカミキリのように、後脚を翅に押しつけてシャコシャコと鳴くのであった。チリできいた「ジーコ」の鳴き声を思い出した。

初めての発見というものは、いくつになっても感動するものだ。

・・・オスは生きているだろうか?

続けてオスの入った袋を開け始める。

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